要支援1ってどんな状態?在宅介護サービスと老人ホームは使える?

介護保険では、介護サービス認定を受けることで、どれぐらい介護が必要な状態か認定をします。

これを介護度といい、支援が必要な度合いに分けられ、その区分ごとに使える介護サービスの量が変わるのです。

全く支援が必要ないと判断された場合は自立、

その次に、身の回りのことはできるけれど、少しサポートが必要とされるのが、要支援1です。

要支援は、本格的な介護サービスが必要とみなされたわけではないのですが、自立と要支援1では大違い!

介護サービスが週に数時間でも使えるだけでも、生活はガラリと変わり、本人も家族もゆとりが生まれます。

支援をもっと使いたいのに使えないよりも、使える中で時間を調整できる方が、欲しいサービスを選ぶこともできるメリットも。

介護認定を正しくしてもらい、必要な支援を受けるためには、自立と要支援のボーダーラインを知っておくと良いでしょう。

要支援1とは、どんな状態なのか?

要支援1~2の状態、認定後に受けられる在宅介護や老人ホームについて、わかりやすくまとめました。

要支援1と2とは、どんな状態?

介護認定については、各市町村が認定する決まりになっています。

さまざまなチェック項目はあるのですが、どんな身体の状態なのかイメージしやすくするためにも、一般的な状態の例で紹介しました。

要支援1:食事や排せつはほとんど1人でできるけれども、掃除や身の回りの一部で、見守り屋サポートを必要とする。

要支援2:要支援1の状態に加えて、「歩行や両足での立位保持などの動作に何らかの支えを必要とすることがある状態」が加わります。

どちらの認定を受けても同じように見えますが、受けられる介護サービスは2倍も違うのです!

ほんの少しの違いで、どれだけ介護サービスに差がでるのか?

次に、要支援1と2で受けられる介護サービスの内容や料金を比較しました。

要支援1と2で受けられる在宅介護サービスと料金

下の表は、要支援1と2で受けられる介護サービス内容と料金の1例です。

介護サービス例 利用限度額
要支援1 週1回のデイサービス

週1回のホームヘルプサービス

月2回のショートステイ

50030円

自己負担額:5003円

要支援2 週2回のデイサービス

週2回のホームヘルプサービス

月2回のショートステイ

月2回の訪問サービス

104.730円

自己負担額:10.473円

要支援1や2と認定されると、介護予防としての介護サービスを受けることができます。

高齢者で身の回りのことができている方でも、生活に支障なく暮らせているわけではありません。

介護認定を受けて、要支援と認定されると、これだけの介護サービスを受けられるのです。

要支援1や2で受ける在宅介護サービスはどんなことができる?

介護保険では、専門用語も多く、在宅介護の種類がいくつもあります。

介護サービスの内容も、いったいどんな支援を受けることができるのかがわからず、ケアマネさんと話しをしていても具体的なイメージができないことも。

良かれと思って提案してくれていたとしても、生活がどんな風に変わるわからないと、いまいちしっくりこないままケアプランが出来上がってしまうことも。

「欲しい支援とちょっと違った。」

なんてことにならないように、在宅介護でできることはどんなことがあるのかを知っておいた方がいいでしょう。

要支援1のホームヘルプサービスでは何ができる?

要支援1や2の方の多くが利用するのが、在宅介護でもホームヘルプサービスです。

ホームヘルプサービスでは、食事、入浴、排せつなどの身体介護や、掃除・洗濯・料理などの家事援助、外出サポートが受けられます。

高齢者になると、部屋の掃除もおっくうになり、「昔はあんなにキレイ好きだったのに」と家族が漏らす方も少なくありません。

時間にすれば30分や1時間程度でも、週に一度でもきちんと掃除してもらえると、部屋の雰囲気は良くなり、過ごしやすくなります。

特に、高齢者は細かいものが見えにくくなるので、キレイにしたつもりでも汚れていることが良くあります。

特に清潔にしておきたい水回り、お風呂やトイレ、キッチンなどが掃除されていると、衛生的にも安心です。

もし、要支援1ではサービスが足りなくなったと感じたら、介護認定を再度受け直して、定期的に介護度を見直してもらうのもおすすめ。

そのときは、本格的に介護が始まった時のことも含め、誰がメインで見るのか?費用をどこから支払うのか?など、家族で話し合っておきましょう。

要支援1や2で入れる老人ホームの種類と違い

要支援1や2と認定されて、介護サービスは受けているけれど、1人で十分に暮らせている方は多くありません。

家族の負担が大きいケースや1人暮らしが不安な方は、老人ホームがおすすめです。

老人ホームには、それぞれ入居条件が決まっているので、それに合わせて選ぶのが基本。

要支援1.2の人が入れる老人ホーム「有料老人ホーム」「サ高住」「ケアハウス」を簡単に比較してみました。

有料老人ホーム サ高住 ケアハウス
施設の特徴 洗濯や掃除などの家事援助や体の調子の管理、介護サービスまで網羅している 生活支援サービスが主。介護を必要としない高齢者が対象となっていて、介護度が重くなると転居の可能性も 60歳以上の身よりのない方、家族との同居が難しい方が対象で、比較的費用が安い
入居条件 自立~要介護5

(施設ごとに異なる)

自立~介護度が軽い 60歳以上で、自立~介護度5(自立型と介護型で異なる)
費用 入居金:0~数千万円

月額費用:10万円~40万円ほど

(高級老人ホームなどもあり、施設ごとに異なる)

敷金:家賃の2~5か月分

月額費用:10~30万円

(高齢者向けの住宅という位置づけなので、家賃的な意味合いが強い)

入居金 0~数百万円

月額費用:約10万円~30万円

主なサービス 介護が必要になれば、施設の介護スタッフから介護サービスが受けられる。

食事、介護、体の状態管理まで網羅できる。

生活相談、生活支援、安否確認など

掃除や買い物代行などの軽い支援

食事や見守り、生活相談など

介護型の場合は、介護サービスを受けられる

表では3つに分けましたが、運営会社の方針によって、サービス内容や受け入れ体制が大きく異なるのが特徴。

たとえば、同じ有料老人ホームでも介護度が重いと入居できないところもあるのです。

今の介護度だけでなく、重くなったときに住み続けられるのか?住み替えるならどうするかまで想定した施設選びをしましょう。

要支援1.2で老人ホームに入っても介護サービスは受けられる?

さきほど、同じ種類の老人ホームでも、それぞれによって介護サービスが違うと紹介しました。

介護認定を受けると、介護予防としての入浴や食事や生活支援のを受けられるのですが、

老人ホームによっては介護保険内での介護サービスを受けられない可能性もあります。

要支援1や2の人に対して行われる介護予防サービスは、指定された有料老人ホームなどでなければ受けられません。

介護型や介護付きの届け出を行っている優良な老人ホームであれば、ほとんどの場合は特定事業者として認定されているところが多いようです。

要支援1や2で老人ホームに入るための条件

介護保険では、原則として65歳以上を対象としているため、老人ホームでも65歳以上が入居条件になっているところが多いです。

一方、介護サービスを利用しない住宅型や自立型の場合は、65歳以上でなくてもかまいません。

老人ホームと一括りにされていても、運営方針は全く違うので、それぞれの施設ごとで確認する必要があります。

簡単な入居条件程度であれば、施設のホームページでも確認できますが、1つ1つ調べるのはめんどくさい。

そこでおすすめなのが、老人ホーム検索サービスです。

部屋探しをするときに、賃貸物件を紹介する会社があるように、老人ホームも紹介会社があるのです。

日本全国の老人ホームを調べることができ、しかも、入居条件もいますぐに調べることができるのが最大の特徴。

しかも、名前やメールアドレスなどを一切登録する必要もないので、「あとからセールスの電話がかかってくる」なんてこともありません。

老人ホームに入るには、身元引受人が必要がことがほとんどですし、日常的に必要な支援があり受け入れ体制が整っているところを見つける必要があります。

施設の中には、24時間介護福祉士やヘルパーが常駐している老人ホームなど、入居条件だけでなく、心地よく過ごせる条件も加えて探すのが、良い老人ホームを見つける秘訣です。

要支援1や2で老人ホームに入るとどんな費用がかかる?

要支援1や2で入れる老人ホームは、有料老人ホーム・サ高住・ケアハウスの3つがあります。

上の表でも紹介しましたが、これらの老人ホームに入るには、入居時に支払う一時金と月額費用が必要です。

入居一時金とは、その施設を利用する権利として支払うものなのですが、支払い形式は1つではありません。

同じ老人ホームで、同じ部屋を利用するとしても、入居一時金が必要ないプランを用意してるところもあります。

その場合は、入居一時金を支払った人に比べて、月額費用が高くなるプランになり、どちらか選べるようにされている施設がほとんどです。

そのため、長く住むのであれば、入居一時金をある程度支払ってでも、月額費用を抑えたプランの方が結果的には安くなるでしょう。

サ高住の場合は、高齢者向けの賃貸という位置づけなので、敷金として入居時に支払うところがほとんどです。

後は、家賃として毎月の月額費用を支払います。

ケアハウスの種類と費用

ケアハウスは、比較的安い料金で入居できるのが一番のメリットです。

身寄りがないなどの条件はありますが、それさえ満たせば比較的介護度が軽いときから入居できるとあって、人気の老人ホームです。

ケアハウスの種類

ケアハウスは、経費老人ホームA型.B型、一般型・介護型のケアハウスに分けられます。

A型 食事の提供あり 介護サービスなし
B型 食事の提供なし 介護サービスなし
一般型 食事の提供あり 軽度の介護まで

外部からの介護サービス

介護型 食事の提供あり 介護スタッフが常駐

施設内で介護サービスが受けられる

表を見てもらうとわかるように、施設ごとに介護サービスが受けられるところと受けられないところがあります。

食事サービスがないところもあるなど、内容に差が大きいのが特徴です。

ケアハウスの費用

入居一時金は、0~数百万円、月額費用は、10万円~20万円台のところが多い。

ただし、所得に応じて月額費用が変わるので、一律ではありません。

ケアハウスの注意点

ケアハウスの種類が細かく分かれているのは、それぞれ受けられるサービスの違いがあるからです。

経費老人ホームのA型・B型は、両方とも介護サービスが受けられません。

また、一般型は、住み始めてから介護が必要になった場合は、外部から介護サービスを受けることになります。

介護度が重くなり、要介護3以上になってくると住み替えも検討しなければならないことも、頭の片隅にいれておきましょう。

有料老人ホームの種類と費用

有料老人ホームには、一般型と介護型があります。

どちらの老人ホームでも、介護サービスが受けられるのですが、介護型の方は施設職員がサービスを提供するのに対して、一般型は「外部事業者」が介護サービスをするのが大きな違いです。

とは行っても、有料老人ホームと同じ敷地内に在宅介護サービス事業所が併設されていて、あまり変わりがないように見えるかもしれません。

しかし、一般型に入居して介護サービスを受けることは、在宅介護サービスと同じ扱いになるので、介護度が高くなると介護型より介護費用が高くなることもあるようです。

有料老人ホームの費用は入居一時金と月額費用

有料老人ホームの費用は、入居一時金と月額費用がかかりますが、施設の立地・設備・部屋の広さで料金の差が大きいのが特徴。

入居一時金は、0~数千万円、月額費用は10~40万円台。

とにかく入居者の方に楽しんでもらうために、趣向が凝らされたところがたくさんあるのも、他の老人ホームとの違いです。

中には、温泉が惹かれていたり、海が一望できるラウンジがあったりと、高級老人ホームと呼ばれるところもあります。

他の2つの施設と比べると費用も高くなりがちですが、一方で安いところもあったりと差が大きいので、予算に合わせて見つけやすいかもしれません。

地方で一番安い老人ホームだと10万円を切るようなところも見つかるなど、

費用を抑えようと思えばできること

介護が必要になっても住み続けられる安心感からとても人気です。

サ高住の種類と費用

主に自立や軽度の介護の方が入居できる高齢者向けの賃貸住宅です。

賃貸住宅なので、他の2つと違い賃貸契約を結び、入居金を支払って入居します。

一部の事業者では、入居金は敷金との位置づけをしているところもあり、退去時に部屋の修復や原状回復に使って、残りは返還される規約になっていたりするので、契約前に確認しましょう。

安否確認や生活相談サービスなどが基本的なサービスになっていて、一般型と介護型の二つがあります。

一般型は、高齢者向けの賃貸という位置づけなので、自炊したり自立と変わらない生活をすることもできるので、サービスを使わなければ費用を抑えることもできるでしょう。

介護型の場合、食事サービスを受けることが前提となっています。

月額費用の中に、食費などのサービスがすでに含まれているところもあるので、何費が含まれているかを確認することで、実際に支払う費用がいくらぐらいになるか計算しやすいでしょう。

サ高住の費用

一般型:5~25万円

介護型:15~40万円

このほかにも、日用品などは別途必要になります。

介護を必要なときに必要なサービスを受けるために必要なこと

介護保険では、始めに受けた介護認定の度合いで、どれだけ保険内でサービスが利用できるかが決まります。

多くの人は、介護保険内でのサービスしか利用しないので、介護度が1違うだけで、受けられるサービスの中身や時間が変わる重要なポイント!

欲しい支援を必要なだけ受ける

当たり前のことのようですが、決まりがあるので、介護度が決まれば保険内以上の支援を受けるとなると、全額自腹。

介護保険内で受けたら、1~3割り負担で良いものが、全部支払うとなるとかなりの負担です。

必用な介護サービスが受けらえるように、介護認定のときは「身体の状態」や「生活環境」をしっかりと伝えるようにしましょう。

このページでは、要支援1と2の方のケースについて、在宅介護と老人ホームについて紹介してきましたが、

介護度と受けられるサービスについて知っておくことは、介護生活の快適さが違います。

本人のためには当然ですが、家族の負担を軽くするためにも、最低限の知識を知って、

介護度に関係なく、「どんな暮らしがしたいか」意思確認ができるうちに、話し合い、在宅介護の限界も知っておくことをおすすめします。

介護はきれいごとではすまされません。

親の介護をきっかけに、兄弟や家族間がぎくしゃくなった。なんて話は良くあります。

介護は、誰が、どこでするか?

家族がそろうときに、少しでも話しておきましょう。

そうすることで、必要なときにきちんとサービスを受けられることになり、介護に息詰まることもなくなります。

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