有料老人ホームに入居すると費用はいくらかかる?

介護が必要な親の施設入居のために特別養護老人ホームについて調べると、入居待ちの多さに驚きますよね。

かといって、有料老人ホームには「費用が高すぎる。」という漠然としたイメージがあり、結局在宅介護を選択するという方も珍しくありません。

在宅介護なら、家賃などの費用は抑えられますが、その分は家族の誰かが時間と体力を使って支えているのが実態です。

介護を家族がすることで費用を安くする方がいいのか、誰かに依頼して利用料を払った方がいいのかは、それぞれですが、

少なくとも、家族が介護できなくなったりしたことも想定して、老人ホームに入らないと行けなくなった場合の費用を知っておく必要があるでしょう。

そこで今回は、有料老人ホームの費用について紹介していきます。

有料老人ホームにかかる費用は3つ

有料老人ホームでの費用は大きく「入居時一時金」「月額費用」「その他の費用」の3つの内訳に分類できます。

入居時一時金

有料老人ホームへ入居する場合は、入居時一時金の支払いが必要になるケースが多いです。

入居時一時金とは、今後その施設で生活していく上での家賃とサービス対価に対する前払いだと考えるとわかりやすいでしょう。

まとまった金額の入居時一時金を支払った場合は、施設で定められた数年間の間((5~7年に設定する施設が多い)に一時金が家賃やサービス対価として、少しずつ使われていきます。

そのため、後述する家賃などの支払いは少額で済むのです。

定められた数年の間に転居したり、親が亡くなってしまった場合は、利用されていない入居時一時金を返還してもらえます。

 

入居時一時金の額はピンきりで、100万円以下の場合も数千万円以上かかるケースもあります。

高額な数字を目にして「有料老人ホームへの入居なんて、とうてい無理だ…。」と感じる方は多いですが

逆に、入居時一時金をゼロ円に設定する施設も増えています。

その分、毎月家賃などを支払う必要があるため月額費用は高額になりますが、まとまった初期費用を支払うよりも、利用した月ごとに対価を支払いたいという方におすすめです。

 

月額費用

入居一時金は入居時にまとまって支払いをするものでしたが、当然有料老人ホームの生活でも毎月さまざまな費用がかかります。

老人ホームによって細かい内訳は変わってきますが、一般的な月額費用の内訳は次のようになっています。

家賃

まとまった金額の入居時一時金を支払った場合は別ですが、一時金が低額だったり0円の場合は、家賃として毎月決まった金額を支払う必要があります。

一般的な賃貸住宅と同じように居室の広さ、立地条件、共用施設の充実度などによって費用が大きく変動します。

管理費

共用施設の維持費、生活支援サービスや事務管理部門の人件費として管理費の支払いが必要です。

一般的な賃貸部屋でも毎月管理費がかかりますが、有料老人ホームの場合は人件費が含まれるので、高齢者向けの賃貸住宅よりも割高になってしまいます。

また、施設によっては水道光熱費が管理費に含まれているケースもあります。

食費

有料老人ホームを生活の場にするわけですから、毎日の食費代もかかります。

朝食、昼食、夕食ごとに食事の費用が設定されており、食事回数に応じて食費が決まるのが一般的です。

しかし、中には人件費や厨房の維持のために利用回数に応じてではなく、毎月一定額の食費の負担が必要となるケースもあります。

利用者の状態によっては特別食に対応してもらう必要が出てくることもありますが、その場合の費用も施設によって判断が異なります。

介護費

老人ホームで生活するために欠かせない介護費用も毎月かかりますが、施設のタイプによって費用の計算に違いがあります。

介護付有料老人ホーム

介護付有料老人ホームは「特定施設」の指定を受けているため、要支援1~2、要介護1~5の段階ごとに一定の自己負担額が定められています。

どれだけ介護保険サービスを利用しても定額で済むので、サービスの利用回数・頻度が多いという場合には、介護付有料老人ホームのほうがお得になる場合が多いです。

基本的な介護費用は上のとおりですが、介護付有料老人ホームだと「上乗せ介護サービス費」「横出し介護サービス費」というものが加算される場合もあります。

上乗せ介護サービス費

上乗せ介護サービス費は、施設の入居者に対する介護・専門スタッフの割合で加算されるか変わります。

特定施設として認定されている介護付有料老人ホームでは、最低でも要介護者3人に対して、介護や国家資格を持った職員が1人の割合(3:1の割合)で配置されるように決められています。

しかし、中には要介護者2人に対して、介護職員が1人の割合(2:1の割合)、要介護者1.5人に対して、介護職員が1人の割合(1.5:1)で配置されているような施設もあります。

この場合は3:1の割合の場合よりもより手厚い介護が受けられるため、その分上乗せ介護サービス費が加算されます。

人員割合は運営規程や施設情報などで「3:1」「2:1」「1.5:1」といったように記載されているので確認しましょう。

横出し介護サービス費

横出し介護サービス費は、介護保険サービス外のサービスを利用する場合にかかる費用です。

多くの介護付有料老人ホームでは、病院への付き添い、買い物代行といった介護保険外のサービスも取り扱っています。

こういったサービスは当然介護保険を適用できないため、全額自己負担で利用することになります。

住宅型有料老人ホーム

介護付有料老人ホームでは、施設に常駐する介護職員による介護を受けます。

しかし、住宅型有料老人ホームでは、外部の訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを自分が希望するタイミングで利用して介護を受けます。

介護付有料老人ホームの介護費用が定額制だったのに対し、住宅型有料老人ホームでは介護サービスの利用頻度によって費用が変動するのです。

もちろん、介護保険サービスを利用した場合は、1~3割の自己負担額で利用可能です。

ただし、利用限度額を超えて介護サービスを利用した場合は、超過した分については全額自己負担となります。

介護サービスの利用頻度があまり多くない方の場合は、定額制の介護付有料老人ホームよりも利用した分の支払いだけで済む住宅型有料老人ホームの費用が安く済むかもしれません。

その他の費用

有料老人ホームでの生活といっても、自宅での生活と同じように月額費用以外にもさまざまな雑費がかかります。

おやつ代、理美容代、レクリエーション参加費、電話代など。中でも特に注意したいのはおむつ代です。

特別養護老人ホームなどの公的な介護施設では、おむつ代が施設サービス費に含まれていましたが、有料老人ホームではおむつ代が自己負担となります。

有料老人ホームの生活にかかる金額は?

有料老人ホームに入居・生活する場合の費用の内訳を大まかに紹介してきました

入居時一時金は、選択する施設によって大きく金額に差があり、月額費用は介護サービスを利用する頻度の影響で大きく変動、その他の費用は本人の趣味趣向、おむつ代などによって変わります。

つまり、有料老人ホームでの生活にかかる金額は、本当に人によって大きく差が開きやすいのです。

実際に入居している人を例にとって、あえて目安となる金額を示すと、

介護付有料老人ホーム

入居時一時金…0~1億円

月額費用…10~40万円

 

住宅型有料老人ホーム

入居時一時金…0~1億円

月額費用…10~40万円+月の介護保険サービス利用料

 

どうしても費用の目安にも大きな差があるので、人によっては「金額の目安が参考にならない。」と感じるかもしれません。

しかし、考え方によっては「施設を選べば、想像以上に安い費用で有料老人ホームへの入居も可能」だということです。

有料老人ホームに限った話ではありませんが、介護の費用は「どれだけお金がかかるか?」ではなく、「どれだけお金をかけられるか?」で考えるべきです。

入居時一時金などの大きな金額に惑わされずに、少額からでも入居可能な老人ホームもあることを知り、かけられる範囲のお金で入れそうな老人ホームを地道に探してみましょう。

まとめ

きれいな外観の有料老人ホームのパンフレットに目を通すと、まとまった金額の入居時一時金に驚いてしまうでしょう。

しかし、有料老人ホームの生活でかかる費用は人によって差あり、時間をかけて探せば考えている介護費用の予算内で収まる老人ホームを見つけ出せる可能性も十分にあります。

比較的リーズナブルで、なおかつある程度希望を満たせるような有料老人ホームを探すとなると、1つ1つ調べていては時間ばかりがかかってしまい、なかなか条件にあったところが見つかりません。

できるだけ効率よく見つけるには、条件を入力するだけである程度絞りこむことができる、インターネット検索がおすすめです。

住むエリア、月額費用の予算、入居一時金の有無でも絞り込めますし、こだわり検索もできます。

選択肢は多い方が、介護は楽になるので、周辺にある施設情報を持っておくだけでも安心です。

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