要介護1はどんな状態?デイサービスやヘルパーが使える回数は?
介護保険制度では、介護度によって利用できる介護サービスの利用限度額が決まります。
その金額内で利用できるサービスを利用していくのですが、金額だとどんな介護サービスをどのぐらい使えるがわかりません。
そこで、要介護1の状態でデイサービスを利用した場合、どのぐらいの回数や日数使えるのかケースとして紹介します。
必用な介護サービスを十分に利用するためにも、
どんな介護サービスをどのぐらい使えるのか?
今の状態が介護度に合っているのか?
など基本的なことを知っておくと、快適な在宅介護ができるでしょう。
要介護1はどんな状態?
要介護1は、介護状態の中でも一番軽いレベルです。
要支援との大きな違いは、基本的には自立して生活できるけれど、部分的に介助を必要とするところでしょう。
認定の目安として、
・歩行や立位保持が不安定で何らかの支えが必要な状態
・食事や排せつなどの日常生活はほぼ1人でできる
・部屋の掃除などの家事などに、何らかの介護が必用な状態
・理解力の低下
などが当てはまります。
基本的には、「介護認定後」にケアプランを作成してサービス利用の流れになりますが、ケガなどで急に介護が必要になってしまうこともあるでしょう。
急を要する場合などは、暫定的に認定されたものとみなして、認定前からサービスを受けられるよう対処してもらえることもあります。
介護を利用できるとなったら、次はどんなサービスを利用するかを決めましょう。
次に、要介護1で利用できる介護サービスの種類と中身を紹介します。
要介護1で利用できる介護サービスの種類
要介護1の方は、基本的には訪問介護やデイサービスの在宅介護が中心となるケースが多いでしょう。
デイサービスとは、設備やスタッフのそろった事業所に出向いて利用する介護サービスです。
朝晩の送迎付きなので、家族が送り迎えする必用はありません。
訪問介護(ホームヘルプサービス)では、自宅にヘルパーさんがきて介助をしてくれます。
生活援助と身体介護の2種類があり、ケアプランで何をどのぐらいの割合で組み合わせるかも決めるので、希望などを伝えると良いでしょう。
その他にも、デイサービスなど介護設備の整ったところに数日間宿泊するショートステイや福祉用具のレンタルなども利用できます。
基本的にはこれらの介護サービスを利用限度額内で利用し、足りない部分は自己負担で利用するという形になります。
では、要介護1の利用限度額内で使える介護サービスとは、だいたいどのぐらいなのでしょうか?
要介護1で介護にかかる費用はいくらぐらい?
要介護1の方の在宅介護サービスの利用限度額は、165.800円となっています。
ただし、地域行政によって特別給付や上乗せ分があり、利用限度額が引きあがっているところもあるので、全国一律ではありません。
利用限度額については、ケアマネージャーさんが地域の利用限度額を踏まえた上でケアプランを作成してくれるので、そこまで気に掛ける必要はないでしょう。
気になるのは、実際に介護にかかる費用です。
要介護1の方が介護サービスを利用した場合、限度額165800円の範囲で利用した介護費用のうち、所得に応じて1~3割と決められています。
あまり介護費用が負担になるようであれば、月の支払いが上限以上の自己負担に対して払い戻される「高額介護サービス費支給制度」も申請すると良いでしょう。
支給対象となる介護サービスについては、福祉用具の購入や住宅改修などの費用などは含まれません。
介護度も決まり、どんな介護サービスをどのぐらい利用できるのかが決まったら、次にどんなサービスを利用するかを決めていく作業になります。
デイサービスが使える日数や回数は?
ケアマネージャーさんに、希望や必要な介護サービスをどのぐらい生活の中に取り入れていくのかケアプランを立ててもらいます。
ケアプランが決まったら、介護サービスを利用する事業所と契約をして、介護がスタート。
要介護1の方は、始めに紹介したように「身の回りのことがほとんどできる」状態なので、デイサービスなどの訪問介護がメインになることが多いようです。
利用サービス例
Aさんの場合:週4回のデイサービス、週2回のホームヘルプサービス、月4日のショートステイ
Bさんの場合:週3回のデイサービス、週3回のホームヘルプサービス、週1回の訪問リハビリ
このように、状況や希望によってサービスの利用回数が違うので、ケアマネージャーさんには家族の困っていることや希望も伝えるようにすると良いでしょう。
ホームヘルプサービスが使える時間はどのぐらい?
ホームヘルプサービスとは、自宅にホームヘルパーさんなどが来て、掃除・洗濯・調理などの介助を受けることです。
デイサービスのように、一日中利用するのではありません。
時間単位で利用するもので、日常生活で困っている部分に対して、スポット的に利用するイメージに近いでしょう。
1回の利用時間は30分単位であることが多く、基本的には介護以外のことはできません。
ただし、定められた研修を受けた訪問介護員であれば、「たんの吸引」ができるようになりました。
ケアプラン例
週に3回の家事代行、1回の外出付き添い、週に2回のデイサービス
ホームヘルプサービスの注意点
ホームヘルプサービスを主に利用するプランの場合、1日に2回以上の訪問介護をするケースもあります。
この場合、それぞれのサービスの時間を「2時間以上空けてサービスを利用する」というルールがあるので、基本的には重複した介護サービスプランはできません。
特例として、必要な場合はできることも認められているのですが、ホームヘルプサービスは「複数回の短時間の利用」というのが基本です。
短時間でのサービスにすることで、個々の生活パターンに合わせて介護が利用できるメリットがある一方で、介護のない時間ができるのがデメリットの1つでしょう。
特に、1人暮らしや家族が居ない時間の「介護が受けられない空白の時間」は、たびたび問題とされてきました。
最近では、夜間や土日祝日も対応している事業所も増えてきたので、そういった希望もケアマネージャーさんに伝えてプランを立ててもらいましょう。
要介護1で施設に入所できる?
一般的には、介護が重くなければ老人ホームなどの施設に入所できないと思われていますが、有料老人ホームなど民間の施設であれば、要介護1でも入居できます。
要介護1で入居できる施設は、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・軽費老人ホームの3種類あり、それぞれの入居条件が違うので、簡単に表でまとめてみました。
入居条件 | 種類 | |
有料老人ホーム | 自立~要介護5 | 一般型・介護型 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 自立~軽度、自立~要介護5 | 一般型・介護型 |
軽費老人ホーム | 自立~軽度の介護度(種類によって大きく変わる) | A型・B型、ケアハウス(一般型・介護型) |
それぞれの施設については、個別の紹介ページで詳しく説明してありますので、ここでは大まかな特徴だけつかんでもらえるといいでしょう。
施設といっても、年齢、収入、介護度などの入居条件が決まっています。
特に軽費老人ホームは、所得制限があります。
軽費老人ホームは身寄りがなかったり、所得が低い方向けの福祉的な意味合いが強い施設と言えるでしょう。
一方、サービス付き高齢者向け住宅は、賃貸なので自宅とあまり変わらない暮らしで、見守りなどの安心な設備が整っています。
あくまでも賃貸受託なので、介護スタッフは常駐ではありません。
介護が必要になったら、設備の整った施設に住み替えることも想定しておきましょう。
「将来の介護に備える」という視点で言えば、介護スタッフや設備が整った有料老人ホームが安心です。
要介護1と認定されてるけど介護が足りない
要介護1は、介護サービスは利用できますが、適切に認定を受けても生活するのに十分と言えないケースもたくさんあります。
たとえば、1人暮らしの高齢者の場合は特にその傾向が高いでしょう。
デイサービスで日中を過ごす日は、昼食もあり、人とのふれあいもあります。
しかし、ホームヘルプサービスの日は、ヘルパーさんが居ない時間の方が長くなります。
要介護1の状態は、大体のことは自力でできるけれど、やはり多少のサポートがなければ生活ができません。
一度認定を受けると、ある一定の期間はそのケアプランでサービスを受けるのが一般的ですが、どうみても生活が難しいようであれば、「区分変更申請」をしてみましょう。
市役所の福祉課や高齢者対策課などに申請すると、心身の状態を再度見直し、認定をし直してくれます。
こういったことは、あまり知られていませんが、積極的に利用していきましょう。