特養と有料老人ホームの違いとは?

老人ホームを探していると、いろいろな種類の施設があるのがわかります。
昔からあるイメージの、特別養護老人ホームや介護老人保健施設のほかにも、
介護付き有料老人ホームや高専賃といった聞き慣れないものもあります。
今回は、よく耳にする「特養と有料老人ホーム」についてご紹介します。
特養とは?
特養とは「特別養護老人ホーム」の通称です。
現在の介護保険制度が始まる前からある施設で、歴史のある施設も多くあります。
また、制度の変更に伴って、新しいタイプの特養も建てられています。
特別養護老人ホームの特徴は、なんといっても月額利用料が低いところです。
収入やお部屋のタイプによって異なりますが、月額7~15万円程度で利用できます。
ただし、特養の場合、入居の際には条件がありすぐには入居できない方もいます。
有料老人ホームとは?
有料老人ホームには、介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅といった種類があります。
このうち、特養と同じように、介護度別に利用料が決定される施設が、介護付き有料老人ホームです。
月額利用料は、お部屋のタイプや介護度によって異なりますが、15~35万円程度です。
また、入居時に一時金が必要な施設もあります。
特養と介護付き有料老人ホームの費用を比較
特養と介護付き有料老人ホームそれぞれについて、入居条件や月額費用をご紹介します。
・特養の入居条件は?
特養に入居申し込みするには、65歳以上で要介護3以上であることが必要です。
40歳~64歳の方でも、定められた条件によって要介護3以上の認定があれば、入居申し込みをおこなうことができます。
また、要介護1・2の方でも、特例で入居が可能になるケースがあります。
この場合、認知機能が低下したり、身体的な理由のために、自宅での生活が難しい方や家族による在宅生活の支援が受けられないことが要件です。
・特養の入居金や月額費用は?
入居に必要な、一時金はありません。
月額費用は、前年の収入や介護度によって異なり、7~15万円程度です。
費用は居室のタイプ・介護サービス加算などが施設によって異なり、月額料金も異なります。
また、理美容費、レクリエーション費などは自己負担になり、個人によって異なります。
・特養の居室の広さと設備などは?
居室には、多床室・従来型個室・ユニット型個室というタイプがあります。
多床室とは、複数人で1部屋を利用するタイプのお部屋です。
カーテンや収納家具などで、プライベート空間を仕切っています。
従来型個室とは、昔からあるタイプの個室です。
壁で仕切られた個室で、昔からある特養には多床室と従来型個室が混在していることが多いです。
ユニット型個室とは、キッチンや食堂、リビングを囲むように配置された個室です。
10人以下の生活単位でケアが行われるため、より自宅に近い環境の中で生活することができます。
・特養のサービス内容は?
食事の提供、排泄介助、入浴介助といったサービスを受けることができます。
他にも、レクリエーションの提供やリハビリが提供されます。
・スタッフは?
生活相談員・介護職員・栄養士などが配置されています。
生活相談員は、入居者さんとご家族の間の連絡役や関係機関との報告・連絡役をしてくれます。
入居前から入居後に至るまで、施設と入居者、家族、地域社会との連携・相談窓口になってくれるのが生活相談員です。
介護職員は、入居者のケアをおこなってくれる職員です。
入居者さん3人に対して1人以上の人数でケアしてくれます。
有資格者の数は、入居者さんが30人以下の施設であれば1人以上、30~50人以上の施設であれば2人以上というふうに、入居者さんの人数によって決められています。
身体的に特別な支援が必要な方へのサービスも提供してくれます。
栄養士は1人以上が配置されています。
毎日の食事や、おやつなどの献立を考えてくれます。
また、入居者のからだの状態に合った食事の提供についても確認してくれます。
介護付き有料老人ホームについて
・介護付有料老人ホームの入居条件は?
入居条件は、施設によって異なります。
介護認定を受けていれば、どの介護度でも入居できる施設もあれば、要介護1以上の介護度が必要などの条件がある施設もあります。
また、特別な支援やサポートがなければ生活ができない方は、入居を断られてしまうこともあります。
入居を希望する施設があれば、直接施設に確認してみてください。
・介護付き有料老人ホームの入居金や月額費用は?
入居一時金は0円~数千万円です。
一時金は、施設ごとに償却される年数や金額が決められていて、退去時に返還されます。
入居一時金の償却期間と返金割合については、入居前に十分確認しましょう。
・居室の広さと設備などは?
居室の広さは、入居者1人につき13㎡以上という基準があります。
安全の確保のため、その居室ごとにスプリンクラーとナースコールの設置が義務付けられています。
加えて、洗面台やトイレが各居室に備え付けられている場合もあれば、共用の施設もあります。
また、ベッドや収納家具などの設置についても施設により異なります。
・サービス内容は?
食事の提供、排泄介助、入浴介助といったサービスを受けることができます。
競争の激しい介護付き有料老人ホームは、周辺の介護付き有料老人ホームとの差別化を図るための工夫をしていることが多いです。
例えば、レクリエーションに音楽療法や園芸療法を取り入れたり、外出できるように多くの企画をしていたり、食事に工夫があったりします。
体験入居を実施している施設もありますので、それを利用していくつかの施設を比べるのもいいですね。
・スタッフは?
生活相談員・介護職員・栄養士などが配置されています。
配置基準や役割は、おおむね特別養護老人ホームと同様です。
ただし、介護付き有料老人ホームでは、要支援者を受け入れている場合もあります。
この場合、介護職員は要支援の方10人に対して1人以上とされています。
特養のメリットとデメリット
特養に入居することのメリットは、なんといってもその利用料金にあります。
月額の利用料は前年の収入によって決定するので、資産の少ない方でも、大きく負担になることはなく入居することができます。
また、終の棲家と呼ばれることもある施設であり、最後まで暮らせる体制が整った特養が全体の7割を超えています。
このため、住み慣れた施設で最後を迎えるまでケアを受けることができるようになっています。
一方でデメリットは、入居希望者が多く、すぐには入居できないことにあります。
入居希望者が入居できるように施設の建設が進んでいる地域もありますが、入居者を受け入れられるほど十分なケアスタッフを確保できないという理由から、入居者の数を制限している施設もあります。
介護付き有料のメリットデメリット
介護付き有料老人ホームは数が多く、自分に合った施設を選ぶことができるということがメリットです。
サービスの内容で選んだり、施設の立地などを検討することができます。
一方で、入居一時金や月額利用料が高いというデメリットもあります。
特養に比べると費用はかかりますが、低価格で均一的なサービスを提供する特養と違い、顧客の満足度やニーズを満たすための努力を惜しまないのが、民間の有料老人ホームの最大の特徴でしょう。
引きこもりがちな老人ホーム生活にあっても、ランチを食べに出かけるイベントや、四季折々の行事に合わせて豪華な食事が用意されるなど、気分転換やリフレッシュのための行事も豊富です。
老人ホームで介護を受けるだけの生活ではなく、最後まで楽しみながら過ごしたい方に向いています。
まとめ
特別養護老人ホームと介護付き有料老人ホームには、どちらにもメリットとデメリットがあります。
どちらが合っているかは、家庭の状況やどのタイミングで施設に入るかにもよりますが、できれば事前に見学することがおすすめです。
金銭面で折り合いがつくかだけでなく、サービス的な部分を総合して、自分にとってより良い環境で過ごすことのできる施設を見つけましょう。
老人ホームを選ぶためのポイント
特別養護老人ホームにも介護付き有料老人ホームにも、ショートステイの介護サービスを提供している施設があります。
ショートステイをすれば、特養に数日間宿泊して介護サービスを受けることができます。
実際に入居したい特養のショートステイを利用することで、施設の様子を知ることができます。
介護保険を利用してのサービスになるので、その月のケアプランを変更しなければなりません。
ケアマネジャーさんなどに相談の上で利用してください。
また、有料老人ホームの場合は、ショートステイではなく、2.3泊の体験プランを用意しているところもあります。
今すぐに入居する予定はなくとも、終活の1つとして、希望の老人ホームを見つけようと利用される方も多いようです。
こういった体験プランがないかも、資料などで確認しておくのがおすすめです。
いざというときに、お試ししてから入居することで、理想の老後を過ごすことができるでしょう。