ショートステイとは?費用やサービス内容について

自宅で介護をしている方は、日々の介護に追われ、自分の時間をつくるのが難しいかと思います。

デイサービスやヘルパーの導入も介護負担の軽減になりますが、「できれば数日間、介護から開放されたい」と思うのは、当然だと思います。

ショートステイとは、要介護者が数日の間、施設に入所できるサービスです。

要介護者が安全に過ごせる場所が確保できれば、介助者も介護から離れ、リフレッシュすることができ、また良い状態で介護をするメリットもあります。

今回は、身内の在宅介護をしている人にこそおすすめの、介護サービス「ショートステイ」についてお話ししたいと思います。

■ショートステイとは?

 

ショートステイとは、介護保険対象となる特別養護老人ホームが提供する「短期入所生活介護」

老人保健施設が提供する「短期入所介護」の他、保険外サービスとして有料老人ホームなどが提供する「有料ショートステイ」があり、

一時的に在宅生活が困難な方が一泊二日から利用できる宿泊サービスです。

自宅と施設間は送迎車による送迎付き(家族による送迎も可能)で、施設内では食事や入浴など日常生活や夜間の介護が受けられ、部屋は個室や多床室などが用意されています。

短期入所生活介護と短期入所介護は要支援1・2、および要介護1~5の認定を受けた方が対象で、

有料ショートステイは要支援・要介護認定を受けていない方でも利用できます。

専門職(国家資格の有資格者)の配置要件により、比較的状態が安定されている方は短期入所生活介護、

体調管理や専門的なリハビリが必要な方は短期入所介護、介護認定を受けていない方などは有料ショートステイを利用します。

ショートステイでは何をするの?

以下、ショートステイの1日の流れと料金の目安を見てみましょう。

09:30 送迎車が自宅までお迎え
10:00 施設到着後、体調のチェック(測定など)
10:30 入浴・リハビリ
12:00 昼食
13:30 折り紙(節句を題材に作成)
15:00 おやつ
18:00 夕食
21:00 就寝
06:00 起床、排泄、洗面、整容
07:30 朝食
10:00 体調のチェック(測定など)
10:30 入浴・リハビリ
12:00 昼食
13:30 外出行事(近所での花見)
15:00 おやつ
16:00 送迎車で自宅まで送迎

一泊二日利用→5,042円+1,533円(食費)+1,363円(居住費)=7,938円(要介護3、1割負担、短期入所生活介護の個室利用、負担限度額認定証なしの場合)

※所得や預貯金額等に応じ、食費と居住費(保険対象外)に対し限度額が設定される「負担限度額認定制度」という負担額軽減制度があります。市町村に申請し、該当者には「負担限度額認定証」が交付され適用となります。

ショートステイはどんな場合に利用するのか?

ショートステイは在宅サービスに位置付けられ、在宅で生活している要介護者が一時的に利用できる宿泊サービスとなっています。

要介護者ご本人のために限らず、普段の介護をしているご家族の事情により利用されるケースが多く見られます。

実際にショートステイを利用している方の、利用する理由や目的を見てみましょう。

【要介護者に起因する利用】

一人暮らしのため、特に夜間に対する不安が大きい
宿泊を通して気分転換を図りたい
施設入所の体験の一環としてショートステイを利用してみたい

【介助者に起因する利用】

冠婚葬祭や出張により一時的に介護ができない
趣味活動や旅行に行きたい
介護から離れ休みたい

ショートステイの利用までの流れ

ショートステイを利用するには、ショートステイサービスを提供している事業者と契約する必要があり、介護保険のショートステイを利用するにはケアマネジャーが作成するケアプランに記載されていなければなりません。

以下、介護保険のショートステイを利用するまでの流れを見てみましょう。

①ケアマネジャーに相談
担当のケアマネジャーにショートステイを利用したい背景を伝え、事業者選定にあたってもらいましょう。その後、要望を加味し、ケアマネジャーがケアプランを作成します。

②サービス担当者会議
ケアマネジャーはケアプランに記載されている事業者を集め、要介護者宅にて介護方針(目的・内容・開始時期など)についての会議を開催します。

③契約
ショートステイ事業者と契約書を交わします。大抵はサービス担当者会議の際に取り交わされます。送迎方法や時間、ショートステイ利用時の持ち物などを確認しておきましょう。利用料金の説明もされますので、支払い方法(現金・引き落としなど)についても確認しておくと良いでしょう。

④診断書
ショートステイ事業者によっては、集団生活のため、他の入居者にうつるような身体的な問題を抱えていないかを確認するため、診断書の提出を求められる事があります。

⑤予約
ケアマネジャーに利用希望日を伝え、ショートステイの予約をしてもらいます。数ヶ月前から予約でき、また土日に利用希望が多い事から、早めに予約する事をお勧めします。初回利用として、ショートステイの利用期間を一泊二日と定めている事業者もあります。

⑥利用開始
ショートステイ利用当日に送迎車が自宅まで迎えに来て、利用開始となります。

■ショートステイの注意点

介護保険のショートステイ(短期入所生活介護・短期入所介護)には利用日数や内容に制限が設けられているため、利用にあたり注意しなければならない点があります。

また、ショートステイ事業者が抱える事情や実情、高齢者を対象にしたサービス特有の問題もあるので、以下利用にあたり注意するべき点を見てみましょう。

【ショートステイを利用できる日数には制限がある】

介護保険のショートステイは、原則1ヶ月にあたる連続利用が30日間、および介護認定期間の半数までの利用日数の制限があります。

但し、介助者である家族の入院など、やむを得ない理由によってはこれを超えて利用する事も可能なので、担当ケアマネジャーに相談してみましょう。

上記の日数制限がある中で、施設入所を待ちながらショートステイを利用している方もいます。

30日を超えるショートステイは「ロングショート」と呼ばれ、31日目を自費で利用し、32日目から再度連続で30日間利用する事となります。

ロングショート利用には、長期連続利用にあたる減算があり、また空き状況によっても対応の可否が変わるので、受けられるショートステイ事業所は少ないのが現状です。

【施設入所者と同一フロアでの利用】

特別養護老人ホームや介護老人福祉施設など、介護保険施設と併設されているショートステイは、施設入所者と同じフロアでサービスが提供される場合があります。

施設入所者は介護度が高い傾向にあるので、ショートステイを利用する比較的元気な方は、重度の方と一緒に過ごすのに戸惑うことがあるかもしれません。

【緊急時のショートステイ利用】

「家族がケガをして緊急入院となった」「要介護者が急に立てなくなってしまった」など、早急にショートステイの利用を要する事態もあります。

ショートステイ事業所によっては緊急時の受け入れを実施していますが、ベッドの空き状況や介護職員の不足などの理由により、対応が困難となっているのが実情です。

緊急時には、利用できるショートステイと平行して、宿泊できるデイサービスなど、選択肢を拡げてケアマネジャーに探してもらいましょう。

【予約していても利用できない?】

施設内で他の人にうつるような体調不良を抱えた利用者が発見されると、施設で規定されている感染対応マニュアルに沿った蔓延防止策が取られます。

本人の回復も含め、他に新たに体調を崩した人がいないなど、終焉が確認できるまでショートステイの受け入れが中止されます。

また、場合によっては利用中であっても退所を求められる事もあります。

特に、冬場などの体調を崩しやすく、うつりやすいものが流行る冬場には、こういった事態が珍しくありません。

【他在宅サービスとの併用】

午後からショートステイを利用する場合、午前中だけデイサービスに行きたい方もいると思います。

原則では、同一日にデイサービスとショートステイは算定できませんが、理由によっては認められる場合もあります。

その際はケアマネジャーに相談し、デイサービスとショートステイ間の送迎をどうするか(送迎場所は自宅でなければならないという規定がある)なども合わせて話しておきましょう。

そして、ロングショートを利用する場合には、自宅で利用している杖(レンタル品)などの持ち込みの可否についても確認しておく必要があります。

福祉用具のレンタルは、在宅での利用を想定しているので、例えばある月に1回も自宅に戻らず、ずっとショートステイ先でレンタルしている福祉用具を利用していた場合、算定できない事となっています。

保険者によって法解釈に差異があるので、こちらもケアマネジャーに相談し、各市町村での取り扱いを確認してもらいましょう。

■まとめ

ショートステイとは数日間という長い時間、介助者が休息するために、特に効果的なサービスと言えます。

その反面、要介護者は住み慣れた自宅を離れ施設で過ごすわけなので、不安を感じる方も少なくありません。

そのため、できるだけストレスなく利用開始できるよう、準備や配慮が必要です。

例えば、ショートステイが併設されているデイサービスを毎週利用する事でその施設や職員に慣れ、その後ショートステイを利用開始するなど、少し長めに準備期間を設けても良いでしょう。

ショートステイの定期利用は要介護者と介助者の生活にメリハリを与えるため、上手に利用すれば日々の介護に対しても好影響が期待できるのではないでしょうか。

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