サ高住の生活とは?暮らしとサービス内容について

最近、老人介護施設として人気のサ高住
サービス付き高齢者向け住宅の略称で、有料老人ホームが介護を必要とする高齢者が入居するのに対して、サ高住は(多少の介護が必要であっても)、自立して生活ができる高齢者が入居するサービス付きの賃宅住宅のことです。
ここでは、サ高住ってどんなところなのか?生活やサービス、ほかの介護施設との違いについて詳しく紹介します。
●サ高住の生活は?
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、主として民間事業者が運営しているバリアフリー対応の賃貸住宅です。
自立して生活することが可能な高齢者向けに、住みやすい住宅として提供しています。
賃貸住宅なのですが、普通の賃貸とは違う点があります。それが生活相談員が、サ高住の敷地内に常駐していることです。
そのため、何かあればすぐに対応することができる点が生活する面で安心感につながっていると言えるでしょう。
自立ができて、さまざまな事情で同居できないが、何かあれば心配なので、即対応してくれる施設があれば…という、家族と高齢者にとっては最適な施設といえます。
・自由度が高いサ高住での生活
自炊が基本です。高齢者向けのバリアフリーなど住みやすくなっている以外、普通の賃貸住宅(集合住宅)と何ら変わるところはありません。
キッチンはもちろん浴室付きのサ高住が多く、自由度の高い生活ができる点がメリットといえます。
もちろん旅行などの外出や外泊も自由です。
軽度の要介護度認定の高齢者が入居でき、必要な介護サービスを受けることができます。
有料老人ホームは、イベントなどが多くコミュニケーションを取る場としては有効ですが、それが過度になりすぎて苦手という高齢者も少なくありません。
干渉されることなく自由な生活がしたいという高齢者に向いているのがサ高住といっていいでしょう。
●高齢者住まい法について
「高齢者住まい法」という法律があります。高齢者が日常生活を営むうえで、住まいというのはとても大切な位置づけとなっています。
高齢者住まい法は、高齢者の居住の安定的に確保するための法律です。
持ち家はともかく、賃貸では高齢者に家を貸し渋る家主も少なくありません。
面倒ごとをできるだけ排除したいという気持ちからなのですが、そういったことも含めて、高齢者住まい法では、高齢者が安心して住むことができる住宅を提供することを定めているのです。
高齢を理由に貸し渋ってはいけないといっても、貸すか貸さないかというのは家主に決定権があるので、表向きは(高齢を理由にしなくても)貸さないようにすることもできます。
この点は、やはり難しい面があるといっていいでしょう。
・高齢者住まい法の改正
サ高住は高齢者住まい法に基づいた住宅です。老人ホームの中の一分類という位置づけになるのですが、れっきとした賃貸住宅でもあり、主に自立して生活できる高齢者が住む住宅です。
介護施設や老人ホームというと、食事・入浴・排せつといった介護サービスを行う施設をイメージしがちですが、サ高住はそういった介護サービスをする必要のない高齢者が入居する住宅なのです。
これは、高齢者住まい法が2001年に施行され、2011年に改正されたのですが、そこで初めてこの「サ高住」の登録制度が始まりました。
・サ高住の登録基準
サ高住の住宅そのものについては、床面積が(原則25㎡以上)、トイレ・洗面所の設置とバリアフリー構造が登録基準となっています。
さらにサ高住ということで、サービス内容も定義されています。それは、生活相談が主なものになるのですが、すくなくとも安否確認は常時行うことも条件となっています。
このことから、生活相談員の即応体制が望まれることから、特に明記はされていませんが、サ高住ではその敷地内に生活相談員が常駐しているのです。
サ高住の設置主体は主に営利法人が中心となっています。
・サ高住のメリット(家主側)
これは民間事業者(家主)側のメリットになるのですが、登録基準を満たすことで、郊外に設置した場合(立地が悪くても)賃貸事業が成立する点です。
家族が訪れるため、近くにバス停があれば望ましいのですが、とくにそのような要件はなく、サ高住ということで、行政側が率先して入居をうながしてくれるのです。
以下にサ高住の家主側のメリットを示します。
①賃貸事業が成り立つこと(行政が斡旋してくれる)
②建築費に10%の補助金が出る
③空き室が出ない
④相続税などの節税対策にもなる
⑤賃料不減特約の締結が可能
賃料不減特約について…これは将来的に賃料の増減ができないという特約です。家主側にとっては賃料の値上げができないことはデメリットにもなりかねないのですが、それ以上に高齢者の安定的な入居が可能であり、それは空き室が出ないことで家主にも安定した賃貸収入が望めるのです。反対に家賃下落のリスクがないのもメリットといえます。
・サ高住の入居条件
サ高住への入居条件は以下の2点です。多くは賃貸借契約となります。
①60歳以上の単身・夫婦世帯
②60歳未満で要支援・要介護認定を受けている人
※高齢者住まい法では、特に自立できる高齢者という定義づけはされていません。
そのため、サ高住入居者でも訪問介護などの介護サービスを受けることができます。
ただし、サ高住側(家主)の条件として自立できること軽度の要介護度という要件がつくことが多いです。
また、要介護度が進むと退去要件を満たし退去を促される場合もあります。この場合や、有料老人ホームへの転居というケースになります。
●サ高住のサービス内容、サービスの種類は?
サ高住のサービスの基本は、スタッフの常駐による以下の2点です。
・安否確認
・生活相談
シンプルですがこの2点がサ高住のサービスです。
それでも、生活指導員が定期的に巡回しますし、必要なときに訪問もします。
生活指導員は介護の有資格者です。
住み込みではないので、日中の常駐のケースが多く、夜間は緊急通報システムなどで対応しています。
介護サービスについては、要介護度認定を受けている人は訪問介護サービスやデイケアサービスなどの通所をすることは自由です。
※サ高住には「一般型」と「介護型」の2つがあります。
ここでは、おもに一般型のサ高住について説明しています。
「介護型」のサ高住は有料老人ホームとの線引きにあいまいなところがありますが、契約上は賃貸借契約をするのがサ高住の基本形ですから、その部分で有料老人ホームと介護型のサ高住とは分類しているのが現状です。
介護サービスについては有料老人ホームと同じように受けることができると思っていいでしょう。
介護という面を取ってみると、生活支援・身体介護・リハビリが必要でしたら一般型のサ高住では、外部の介護サービスを利用することになります。
いっぽうで介護型のサ高住は、施設職員が対応します。
介護施設というより高齢者向けマンション
有料老人ホームと違ってイベントやコミュニケーションを図る場というのはありません。入居人同士の交流もそれぞれの意思で行うようになっています。
そのため、サ高住は居住形態が変わっただけで、普段の生活と何ら変わらないと考えていいでしょう。
サービスも安否確認と生活相談というシンプルなものですが、いつでも相談できるという安心感だけでもかなりのものと言えそうです。
●サ高住の食事は?
基本的に自炊をすることになります(介護型は食事が出ます)。
そのため、台所(キッチン)が備え付けられていて、自由に調理をすることができます。
宅配食サービスなどは自由に契約することができるので、調理などが苦手といった人はそういったサービスを利用するといいでしょう。
●サ高住の緊急時の対策は?
安否確認サービスがあるのがサ高住の特徴です。とはいっても生活指導員が常駐しているのは日中のみですから、夜間の見守りは原則として、しないところが多いのです(一部巡回サービス有りのサ高住もあります)。
緊急時は入居者が連絡をする緊急ブザーを鳴らすなどの対処をしなくてはいけません。
そのため、自立できること要介護度認定も軽度の人が入居するのが条件としているサ高住が一般的となっています。
●サ高住は終身買いおgはできる?
サ高住は終の住み処となりえるのか、終身介護ができるのかどうかは大切なポイントです。
強制的に退去を求められることはないのがサ高住のメリットなのですが、要介護度認定が進むと、サ高住での介護サービスが難しくなることは十分に考えられます。
そのため、終身介護ができるできないといった以前の問題で、完全介護のできる有料老人ホームや特養などの介護施設への転居が必要となるケースが多いです。
終身介護は、サ高住側での対応によるところも大きいです。
入居者の終身介護をしているかどうかといったことになると、これは実施率が25%程度になっています。実績はないが対応は可能というサ高住も32%程度です。
これらを合わせると半分以上で終身介護が可能ということになりますが、前述しているように高齢者の状況も考えなくてはいけません。
急に容態が悪化して亡くなる場合について対応は当然可能ですが、介護を経たうえでの最後を迎えるということになると、やはり設備の整った施設に移ったほうがより良い終末期を迎えることができるでしょう。
そのため、サ高住を終の住み処、終身介護ができるところと考えるのは早計のようです。
●まとめ
高齢者世帯の持ち家率は下がっているのが現状です。
また、意外に思えるかもしれませんが、調査結果では高齢者の9割が在宅です。
元気な高齢者が増加傾向にある中で、安否確認などの即応体制と生活相談がすぐにできるサ高住の重要性はこれからもどんどん増していくことが予想されます。
元気なうちは在宅で大丈夫であっても、賃貸住まいの高齢者世帯でしたら、サ高住に住むという選択はこれからどんどん高まっていきそうです。
サ高住は高齢を理由に入居を拒否されることはなく、入居費用や家賃は低額となるメリットがあります。
その分自活する必要があるのですが、自由に生活できる点がサ高住のメリットであり、これからも注目度が高い高齢者向けサービスといっていいでしょう。