サ高住と有料老人ホームの違いとは?

最近、非常に多くの数が建てられているサービス付き高齢者向け住宅ですが、有料老人ホームと比較されることが多いです。

価格帯も似ている部分も多いので、同じようなものだと感じ、「サービス付き高齢者向け住宅」か「有料老人ホーム」どちらに入居しようか迷っている方もいます。

しかし、身体状況が変われば途中で住み替えなければならないこともあるなど、介護の仕組みや受け皿が異なるので、違いを知って選ぶ必要があるでしょう。

ここでは、サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いについて、それぞれ見ていきます。

サービス付き高齢者向け住宅の強み

サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)は、高齢者特有のサービスが付いている高齢者向けに作られた住宅のことです。

サ高住にはどのようなサービスがあり、何が強みなのでしょうか?

①安心して生活を送れる

サ高住は高齢者向けに作られているので、完全にバリアフリーが整っています。

手すりや段差がないなどはもちろん、滑りにくい床材であったりと、安全面が配慮された作りとなっています。

また、何かあれば職員が駆けつけてくれる「コールサービス」も設置されていて、緊急時にもすぐにかけつけてもらうことができます。

施設という位置づけよりも、高齢者向けの賃貸住宅という意味合いが強いので、部屋も通常の老人ホームに比べて広く取られています。

キッチンなどが部屋についている場合ですと25平米以上、キッチンなどが共用の場合なら18平米以上と、広々としているので、ご夫婦で利用される方も多いです。

サービス付き高齢者向け住宅のサービスのメインは、「安否確認」と「生活相談」です。

安否確認に関しては、ほとんどの施設で「2時間に1回は職員が問題なく過ごせているのか?」「異常はないのか?」の安否を確認します。

生活相談は、介護保険のことや、入居者同士の人間関係など様々な相談に乗ってくれますので、何か問題が起きた時でもスムーズに生活が出来るでしょう。

ある程度元気な高齢者が、プライベートな時間を大切にしながらも、見守りや相談できる相手がすぐそばにいるため、安心して生活が出来るのがサ高住の強みです。

②自立者でも入居できる

サ高住は、あくまでも住宅ですので、自立した方でも問題なく入居することが出来ます。

特養は要介護3以上、老健は要介護1以上、介護付き有料老人ホームでは要支援1以上が必要になりますので、自立者でも入居できるのは強みといえます。

元気なうちから入居をして、介護が必要になったら、外部の介護サービスを利用して住み続けられるところもあります。

介護が必要になるなど、将来の生活が変わった場合の対応については、物件ごとに異なるので、資料などで確認しておきましょう。

③利用料金が安い

サ高住にも様々な種類がありますが、有料老人ホームに比べると安いところが多いです。

安いところですと、食費込みでも10万円以下で入居できるところもあります。

サ高住に入居する方の中には、毎月の家賃よりもサ高住の部屋代の方が安いといって入居する方もいるほどです。

また、介護を受ける場合でも使った分だけの支払いで良いですので、サービスをあまり使わない状況であれば、サ高住の介護保険自己負担分は非常に安く済みます。

④介護サービスを選択できる

サ高住は自立の方から入居することが出来ますが、介護が必要になった際は、どのように介護サービスを受けていくのでしょうか?

サ高住はあくまでも自宅という扱いになりますので、介護サービスを受ける際は在宅で生活をしている方と同じように、ケアマネジャーが付いて、訪問介護や通所介護などの介護サービスを受けることになります。

有料老人ホームなどで介護を受けると、入居している有料老人ホームから介護サービスを受ける場合がほとんどですが、

サ高住の場合は、外部の介護サービス提供事業者を利用するので、どの介護サービスを利用するか選択することが出来ます。

お気に入りのデイサービスに行けますし、慣れ親しんだ訪問介護のヘルパーに来てもらうこともできるのです。

自分がどのようなサービスを受けるのかを、「選択できる」のがサ高住の強みであるといえます。

★ポイント

サ高住は自由に生活が出来る部分があるので、自立している方にとっては非常に良い施設であるといえます。

介護を受ける際も、自分で選択をすることが出来ます。しっかりと自分で検討したうえで納得してサービスを使えるでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅の弱み

強みが分かったところで、弱みはどのような部分があるのでしょうか?

①介護が重度の場合退去しないといけない場合も

サ高住は、元気な高齢者に向けて作られる施設であり、介護が必要になれば外部の介護サービスを使うことになります。

外部の介護サービスは、24時間365日介護を提供してくれる訳ではありませんので注意が必要でしょう。

サ高住に住んでいる要介護者は、ケアプランに基づいて、必要な時間に必要な回数介護を利用して生活していくのです。

つまり、常時介護が必要な方は入居を続けることが難しくなってしまいます。特に認知機能が低下している人は注意が必要です。

認知機能が低下してくると、自分で適正な判断が難しくなり、常に見守りが必要になることがあります。

そのような状況になると、対応しきれないと退去を促されることがあるので、注意しておきましょう。

もちろん、重度でも対応してくれるような体制をとっているところもあるので、一概には言えませんが、大半のサ高住は重度になればサービス不足になることが多いです。

②利用料金が高くなることも

自立者であれば利用料金が安いところが多いですが、介護が重くなってくると料金が高くなることもあるので、注意しておきましょう。

介護保険内のサービスであれば、自己負担は1割(2割もくは3割)で収まりますが、介護保険内だけではサービスが足りない場合は全額自己負担となります。

多くのサ高住では、有料サービスというシステムを取っており、介護保険外で対応したサービスに関しては、10分500円や、30分2000円という料金を設定しているところがあります。

そのため、介護保険内のサービスも限界まで使い切って、さらにサービスが必要な場合は、料金が非常に高くなる傾向があります。

③自立者でも入れないサ高住がある

サ高住に入居基準はありません、法的にみても高齢者であればだれでも入居できることになっています。

しかし、サ高住が独自で入居基準を設定している場合があります。

例えば、要介護者だけを対象としているサ高住もあります。

これは、職員を常時配置して、要介護者でも問題なく生活できるように体制を整えている施設です。

こういったサ高住の場合は、介護保険料が入ることを見越して人員配置を設定しています。

自立者が入れば介護保険料は入りませんので、自立者は入居を断り、要介護者のみの入居を認めているところがあります。

また、その反対もあり、少しでも介護が必要な方は入居を断るところもあります。

自立の人だけを対象としているサ高住は、元気な高齢者のみを対象にサービスを整えており、レクリエーションなどに力を入れており、その部分に人員配置をしています。

もし介護が必要になったとしてもそこに人員を配置することが出来ず、最初から介護が必要な方は断っているのです。

★ポイント

サ高住の弱みとして、途中で出される可能性があるということです。

しかし、これは契約書をしっかりと読んでおき、介護が必要になった場合の処遇を事前に確認することによって、解消できるので、事前確認は必須でしょう。

有料老人ホームの強み

有料老人ホームにはどのような強みがあるのでしょうか?ここではサ高住と比較されやすい介護付き有料老人ホームについてご紹介していきます。

①常時職員が配置されている

有料老人ホームには常時職員が配置されており、通常の特養と同じようなサービスを受けることができます。

これは、サ高住と比べた際の最も有料老人ホームが強みとして考えられる部分でしょう。

また、有料老人ホームの場合は、介護職員の他に国家資格を持った有資格者の配置も義務つけられていますので、安心して入居することが出来ます。

常に職員が配置されていますので、認知機能が低下している方など常時見守りが必要な方、寝たきりで頻繁に見守りが必要な場合などであっても、常に介護を受けれる環境が整っています。

②終身住むことが出来る

有料老人ホームに終身まで住む加算が創設されてから、有料老人ホームでも最後まで住むことができるところが増加してきました。

専門家との連携を強化させたり、有資格者や介護士に対して終身介護の教育をおこなったり、環境を整えるなど、有料老人ホームでも特養並みの体制、場所によってはそれ以上の対応が出来る施設が増えてきたのです。

終身の介護が出来るということは、一度入居すれば最期まで同じ場所で過ごせるということになりますので、途中で退去する心配もなく「最期まで安心して過ごせる」といえます。

③料金の負担が一定

有料老人ホームでも介護付き有料老人ホームは、介護保険上では特定施設入居者生活介護と呼ばれる分類になります。

特定施設の利用料金は、在宅のようにサービスごとに料金が発生するものではなく、一日いくら介護を受けても、介護を受けなくても料金が決まっている制度となっています。

その為、毎月の介護保険自己負担分は一定であり、サービスを多く利用したからといって高額にならない安心があります。

サ高住の場合はサービスを受ければ受けるほど、料金が高額になってしまいますので、不安に感じている方も多いです。

介護の料金が毎月一定なのは、有料老人ホームの強みであるといえます。

ポイント

有料老人ホームは、特養と同じようなサービスで、常に職員がいるという強みがあります。

サ高住を辞めて有料老人ホームに行く方大半が、このような理由であるといわれています。

有料老人ホームの弱み

有料老人ホームの弱みとのようなものがあるのでしょうか?

①介護認定が無いと入居できない

有料老人ホームの入居基準は、特に決まっていません。

しかし、施設で独自に基準を決めている場合があり、ほとんどの施設では介護認定を取得していないと入居することはできないのです。

その為、元気なうちから入居しておくということが出来ませんので、注意しておきましょう。

最低でも要支援1、場所によっては、最低でも要介護1以上の介護認定が必要となるので、まずは認定を取るところから始めないといけません。

②料金が高い傾向がある

有料老人ホームは、介護保険の自己負担額が一定ですので、あまり介護を受けない軽介護の方に対しては割高になる傾向があります。

また、利用料金に関してもサ高住と比べると高いところが多く、月額費用としては30万円前後のところも珍しくはありません。

サ高住が月額10万円以下で生活を出来るところが多いですが、それと比べると高い傾向があります。

③サービスを選択することが出来ない

有料老人ホームの場合は、特定施設の介護サービスを受けることになります。

サ高住の場合は、自分でサービスを選択することが出来て、自分の好きなサービスを受けることが出来ますが、特定施設はサービスを選択することが出来ません。

行きたいデイサービスがあったとしても、介護保険の制度上利用することが出来ないのです。

★ポイント

有料老人ホームは、制度上の理由からどうしても閉鎖的なサービス、高額な利用料金になりがちです。

また「いくら介護を受けても受けなくても料金が一定」という部分は、理解がしにくい部分であるといえます。

まとめ

サ高住と有料老人ホームは、人員配置や制度的な縛りから大きな違いがあります。

その為、入居を検討するのであれば、自分がどのような生活を望んでいるのか、どのような最期を迎えたいのかなどを、しっかりと検討をして選択するようにしましょう。

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