突然介護が必要になったら?「介護の準備」とは?

親が高齢になってくると、突然のトラブルがきっかけに、介護が始まることがよくあります。

「いつか、こんな日が来るかもしれない」と思いながらも、介護について準備するのは何だか気まずい。

しかし、準備をしておいて良かったことはあっても、後悔することはありません。

介護が始まったら、親はどうしたいのか?家族は何ができるのか?

準備をすることで、満足の行く介護をすることができるのです。

介護が必要になってから必要な準備を、具体的な介護サービスを利用するまでの流れ、必要な手続きを紹介します。

●介護が必要になったらどうしたらいい?

親の体の衰えを感じると、漠然と介護のことを意識するようになる人は多いです。

しかし、介護が必要になったら「親の面倒をみる気はある」という人は多いですが、準備ができている人は少ないでしょう。

自宅で最期を迎えられるのは、高齢者の4人に1人という国の統計結果があるように、かなりの確率で介護や支援が必要になるときがやってきます。

そのときに対処すると、どうしても条件や効率優先で、どこかに無理がきてしまいがちです。

たとえば、本人の意志とは違う介護だったり、家族が介護の負担を抱えすぎて生活に支障をきたしたり、準備をしていたら避けることができるのです。

親の介護は、誰が中心となって進めていくのかキーパーソンを決めておくだけでも、手続きを早く進めることができます。

さらに、介護が必要になってからの流れの大筋を知っておくと、突然の介護でも対応することができるでしょう。

・介護を考えるときに必要なこと

まずは以下のことを考えるようにしましょう。

①何から始めるのか
②必要な手続き
③誰がそれをやるのか?

①と②については、介護が必要になってから利用するまでに必要な準備を、時系列ややることとしてリスト的に準備しておくことができます。

そして何よりも大切なことは、③の誰がそれをやるのか?です。

親の近くに住んでいる子どもが手続きをするのが一番ですが、遠方に住んでいる場合は、帰省する必要もあったりします。

親の介護や世話のためなら、多少のことは手助けできても、生活もしていかなければならなりません。

自分の家庭・仕事・生活と介護を両立するにも、準備が必要なのです。

介護の準備リストにはどんなことを決めるべき?

介護の準備は、1つだけではなく、生活すべてを総合的に考える必要があります。

そのときのキーワードが、

「申請、お金、相談、保険、施設、サービス、相続、終身介護、記録」です。

特に、介護サービスを受けるためには、介護認定を受けなければいけません。

要介護度によって、受けられる介護サービスの時間や内容も変わってきます。

また、介護認定を受けるときに、専門家からの意見書などをもらうこともあり、かかりつけを見つけておいたほうがいいでしょう。

これまで書いたことは、介護が始まってからの手続きについてですが、もっと重要なのはそれ以外の準備です。

介護保険では、介護を利用したら自己負担部があるので、お金も必要です。

兄妹がいる場合は、介護にかかったお金を誰が負担するかで揉めることがあったり、近くにいる人だけが負担が重くなり、関係が悪くなるケースもあるのです。

また、親の介護が抱えきれなくても、気持ち的に施設に入れることができなくて、限界まで抱え込んでしまうこともあります。

お金の件、介護を誰がするか、介護施設の件など、いろいろなことを考えなくてはいけないのです。

一気にこれらのことを片付けることはできません。

まずは、上に挙げたキーワードに関することを、1つずつ片付けていくことで介護の問題を解決していくことができるでしょう。

●介護が必要になったらどこにどんな手続きが必要?

介護はが必要になったら、介護保険によるサービスを利用することができます。

実際に介護を利用するには、申請や手続きなどの仕組みを知ることが大切です。

まずは、どこにどんな手続きが必要なのか、親の介護が必要になったときに行わなければいけない手続きを説明します。

・要介護認定を受ける

介護サービスを受けるには、要介護認定を受けなくてはいけません。

要支援1から要介護5まで7段階の要介護度が存在します。

自分の親がどのような判定になるのか、それによって受けることのできる介護サービスにも違いが出るのです。

①必要な書類の準備

介護保険要介護認定・要支援認定申請書、被保険者証を用意します。

介護保険要介護認定・要支援認定申請書は住まいの市区町村の窓口、あるいは市町村のホームページからダウンロードできます。

被保険者証については、65歳以上でしたら介護保険費保険者証、65歳未満でしたら被保険者証が必要です。

②市区町村の窓口へ

書類持参のうえ、住んでいる市区町村の窓口、あるいは地域包括支援センターにて申請します。

被保険者証は認定結果が出るまで預けることになるので、被保険者証の代わりになるものとして、介護保険資格者証を窓口で受け取ります。

③訪問調査

書類の申請手続きが終わると、調査員による訪問調査があります。

申請後訪問日に関する連絡があるので、希望の日時や時間などを伝えましょう。

訪問調査は申請後、原則として1,2週間以内に行われます。

市区町村の認定調査員が自宅を訪問し、要介護者の心身状態についての聞き取り調査を行います。

④意見書

申請手続きの際に記入したかかりつけあてに「意見書」が、市区町村から送られます。

その意見書に、進行度合いなども書かれています。

かかりつけの場合は、意見書を書くためにその都度みてもらう必要はありません。

特定のかかりつけがいない場合については、市区町村の窓口で紹介してもらい、みてもらうことができます。

⑤審査

介護認定審査会において、介護の要・不要、さらには要介護度の判定が行われます。

訪問調査による情報と意見書などを参考にして判定されることになります。

介護認定審査会は、市区町村が指名した、福祉・保険の専門家によって審査が行われます。

⑥認定

介護認定審査会にて、要支援1・2、要介護1~5、非該当のいずれかが決定されます。

●自宅で行う準備は?

介護を行う際に自宅で行う準備には、どういったものがあるのでしょうか。

調査では、要介護者の70%以上が自宅での介護(在宅介護)を希望するという結果があります。(平成30年版高齢社会白書)

介護を誰にしてもらいたいかという調査では、男性の56.9%が配偶者、次いで介護サービスが22.2%でした。

それに対して、女性の場合は、介護サービスが39.5%で、子供が31.7%、配偶者が19.3%です。性別によって大きく違う結果となりましたが、いずれにしても在宅介護を希望する人は性別を問わず多いことがわかります。

実際に、介護が必要な高齢者で、自宅に暮らしている人は、

・訪問介護・デイサービスなどの利用

在宅介護でも、介護サービスを利用して、訪問介護あるいはデイサービスを受けるようにしましょう。

訪問介護では、本人が生活するのに必要だけれど、できない部分について、料理や掃除、入浴などの生活支援を受けることができます。

訪問介護だけを利用することもできますが、家の中だけにいるようになると、刺激もなく認知機能低下の進行が早まることもあるので、デイサービスも取り入れるのが一般的です。

要介護度によって受けられるサービスは違ってきますが、どんなことに困っているのかを明確にして、必要な支援が受けられ宇ようにしましょう。

・自宅の改修・リフォームなど

自宅の段差をなくす改修を必要に応じて行います。

一番多いのは車椅子で出入りがしやすいようにするバリアフリー化です。

また、要介護者の部屋も出入り口付近にするようにしてもいいでしょう。

家屋の中もできるだけバリアフリーで、どこでも車いすでいけるようにするようにすると便利です。

さらに、手すりなども必要に応じて設置しましょう。

浴槽などは、溺れることがないように手すりなどを付けるのは必須です。これらについては、介護保険を利用して補助金を受けることができます。

・車椅子や介護ベッドのレンタル

購入することもできるのですが、高価なものが多いので、車いすや介護ベッドはレンタルがおすすめです。

車いすを押す力が弱い方は、電動車椅子などもあれば便利でしょう。

これもレンタルできます。

介護ベッドについては、介護のしやすさや受けやすさが通常のベッドとは違います。

今ベッドを利用していたとしても、「介護ベッドは必須」と考えた方がいいです。

リクライニングできるだけでも、移乗介助がしやすくなりますし、ベッドでの食事も容易です。

また、排せつなどの介助も必要になると、介護ベッドでないと対応できないでしょう。

在宅介護の場合は、移乗介助を考えて、介護ベッドや車椅子などの手配をまずは考えなくてはいけません。

●介護にかかるお金(費用)は?

在宅介護にかかる費用について考えてみます。

在宅介護にかかる費用には2種類があります。

・介護サービス利用料:訪問介護やデイケアサービス料がこれにあたります。
・介護サービス以外の費用:おむつ代や介護に関するリフォーム代などがこれにあたります

これは、介護保険を利用した介護サービス費用についてで、身内が行う人的な介護費用は当然入っていません。

実際に、在宅介護で暮らす高齢者の生活は、身内の介護がなければ暮らしていけない方が多いので、本来ならもっと費用がかかっているとみるべきでしょう。

家計経済研究所が、2016年におこなった調査結果があります。

その「在宅介護のお金と負担」では、在宅介護にかかる費用は月々で平均5万円ということです。

内訳は、介護サービス利用料は16,000円で、介護サービス以外の費用が34,000円ということです。

ただし、全体の平均となるので、要介護度によって分けたほうがより現実に即した費用になるでしょう。

全体 介護サービス料 介護サービス以外の費用
・要介護1 33,000円   7,000円   26,000円
・要介護2 44,000円  14,000円   30,000円
・要介護3 60,000円  25,000円   35,000円
・要介護4 59,000円  17,000円   42,000円
・要介護5 74,000円  21,000円   53,000円
平均   50,000円  16,000円   34,000円
※いずれも自己負担額です。

※介護保険については、要介護度によって支給限度額が決められています。

また、要介護度によって受ける介護サービスの回数や内容も変わってくるのです。

世帯によっては、介護サービスに頼らない民間サービスを利用するところもあります。

介護サービス以外の費用の内訳は、オムツ代などの介護用品が全体の3割を占めていて、他は、社会保険、その他となっています。

●介護期間の平均

介護機関の平均は5年から10年です。

「公益財団法人 生命保険文化センター」の調査では、詳細な平均期間が出ていて、それによると介護機関の平均は54.5ヵ月(4年7ヵ月)でした。

中には20年間介護をしたという事例もありますし、人によって介護期間はさまざまです。

また、実際の調査では、介護中という人のデータも入っているので、実際の数字はもっと高くなるでしょう。

平均寿命は伸びているのに対して、健康寿命はさほど伸びていないということなので、介護期間はこれからも伸びることは間違いありません。

介護は、長期戦だと思って、無理をし過ぎないことが大切なことがわかります。

・平均寿命と健康寿命について

厚生労働省が発表した数値です。2016年の健康寿命と2017年の平均寿命を比較してみます。

平均寿命  健康寿命    差
・男性 81.09歳  72.14歳  8.95歳
・女性 87.26歳  74.49歳  12.77歳

これによると男性では9年の介護期間が必要となり、女性は13年の介護期間が必要となります。

仮に10年の在宅介護を行った場合、月の平均額を5万円とした場合、年間で60万円、10年では600万円の費用がかかることになります。

また、年数が経つほど介護度が重く、在宅介護では生活ができないほど支え切れなくなります。

そうなったときの生活も、決めておかなければいけません。

●寝たきりの場合はどんな施設を検討すべき?

寝たきりの要介護者の介護は、家族だけで支えるのは無理でしょう。

要介護度3以上の場合は、特養に入居することができます。

特養は老人ホームの中では、費用が安く抑えられますが、空きがないので入居まで待たなければならないことがほとんどです。

そのため、自宅に暮らせなくなってから探すのではなく、事前に調べておいたり、有料老人ホームなどの他の解決策も見つけておいた方がいいでしょう。

有料老人ホームは、特養よりも費用はかかりますが、月額も20万円以下のところも多く、老齢厚生年金を受けている人でしたら、月々の費用を年金でまかなうことができるでしょう。

身体的な理由によって、特別なサポートが必要ということで、特に受け入れ可能な施設が限られます。

持病や日常的にそういった個別での支援が必要な方は、対応してもらえる老人ホームを探して置く必要があります。

・在宅で介護する場合

寝たきりの状態で、在宅で介護する場合は、次のことに注意が必要です。

①同じ姿勢のままにしない

同じ姿勢のままだと、体にかかる圧力によって体調を崩す原因になります。これを防ぐために定期的な体位変換が必要となります。

②排せつ
寝たきりとなるとトイレで排せつすることができません。そのため専用のトイレやおむつに頼ることになります。いずれにしても、要介護者を抱える、あるいは持ち上げる必要があり、これが介護者にとって大きな負担になります。また、排せつの介護は要介護者の尊厳にも関わるので、他の介護以上に神経を使うことになります。

③入浴
体位変換や排せつ介護と同様に入浴も大きな負担となります。もっとも、週一あるいは週二の入浴でよければ介護サービスにまかせるようにしたほうがいいでしょう。専門家の介護のほうがより確実です。日々清潔を確保するには、体を拭く、着替えをするなどの介護が必要になりますが、これも寝たきりとなると大きな負担となるのは間違いありません。

●介護で家族の仲が悪くならないために方針を決める

突然、介護が必要になるとどうしても、日々やらなくてはならないことに忙殺されてしまいます。

落ち着いたら考えたいのが、その後の介護方針です。

どこまで在宅介護を続けるのか、どの時点で介護施設へ入所したらいいのか、入所するにしてもお金が必要です。

貯金と年金収入でどれだけできるのか、足りないところは家族で負担しなければいけません。

そういった部分は、身内で家族会議を開くなりして決めなくてはいけません。

また、前述した統計結果のように、高齢男性は「自宅で家族に介護してもらいたい傾向が強い」ですが、家族がそれをできるかは別問題です。

要介護者の意識がしっかりしているときに、きちんと相談して決めておかなくてはいけません。

また、相続の面でもタブーとは考えずに、要介護者にしっかりと意思表示をしておいてもらうことが大切です。

・仕事はどうする?

親の介護のために、仕事を辞めて実家に戻って介護をするという人も少なくないようです。

介護離職と言って、社会問題の1つとなり、介護休暇制度を設ける会社も増えてきました。

しかし、期限があったり、その間の給料が支給されないなど、その場しのぎにしかならないので、介護休暇を利用する人の方が少ないのです。

しかし、その間にしっかりとその後の介護方針を決める時間にはなるでしょう。

また、休暇のたびに帰省するなど、遠距離介護を続ける人もいますし、介護のあり方はさまざまです。

介護期間は、平均して5年~10年という調査結果があるように、介護は長期間になります。

そのときだけの感情で流されていては、息詰まることもあるので、親子や家族で介護方針も含めた準備が必要なのです。

●まとめ

突然介護が必要になったら、どうしたらいいのか?誰も教えてくれません。

しかし、その場面が来るとやらなくてはいけないことが多く、混乱するばかりで自分の生活と親の介護のことで追われることになってしまいます。

日常生活に制限がないと言われる健康寿命は、70歳ごろまでという調査結果があるように、

親の年齢が70歳を過ぎると、「いつ介護が必要になるかもしれない」といった気持ちの準備をしておいたほうがいいのは間違いありません。

また、日頃の状況を知っておくためにも、親とこまめに連絡を取ったり、かかりつけと一度話をしておくのもおすすめです。

定期的なチェックも高齢者には特に必要ですから、年に一度は必ずみてもらうように言わなくてはいけません。

遠く離れている場合でも、有給を取るなどして、定期的につきあうといったことも考えてみましょう。

親の介護や倒れてしまったときのことを話したり、準備をすると、気まずく感じるという人もいますが、そういった場合でも、何が必要なのかを知っておき、さりげなく本人の意思確認をしておくのがおすすめです。

最初のコメントをしよう

必須

CAPTCHA