介護付き有料老人ホームとは?夫婦での入居も可能?

介護付き有料老人ホームは介護保険制度上では、特定施設入居者生活介護というサービスとなります。

24時間必要に応じて介護サービスを受けることができる施設です。ここでは、介護付き有料老人ホームを詳しく紹介し、また夫婦での入居が可能かどうかも調べてみました。

●介護付き有料老人ホームとは?

介護付きといって施設によってサービスと入居費用がさまざまですが、基本的には24時間の介護・介助サービスを受けることができる有料老人ホームです。

地方自治体の指定(認可)を受けて、主に民間業者が運営している施設です。

24時間の介護・介助サービスを受けることができることから、「終の住処」となりうる施設でもあります。

そのため、要介護度が上がっても退去することなく、施設に居続けることができる点が大きな特徴と言えるでしょう。

これについては高齢者の入居する施設の中では、終の住処となりうる施設は、この介護付き有料老人ホームの他には特別養護老人ホーム(特養)しかないといっていいでしょう。

・入居条件

入居条件については、自立(要介護度ゼロ)から要介護5まで、施設によってさまざまです。

この点は要介護3以上の高齢者が入居できる特養とは違う点です。他には、入居費用の他に月額費用の支払いが終身までできるのかといった点でしょう。

年金受給額で月額費用がまかなえれば問題なく、まかなえなくても潤沢な貯金があれば問題はないのですが、それ以外では、家族の援助が期待できるのかといった、資金繰りが重視されます。

支払えなくなれば、退去ということもありえるので、月額費用の支払いがずっとできるのかというのは、入居前にしっかりと考えておかなくてはいけません。

●介護付き有料老人ホーム入の費用は?

介護付き有料老人ホーム入居のためにかかる費用は、入居一時金と月額費用です。

入居一時金については、介護付き有料老人ホームによってまちまちです。

入居一時金をまったく必要としないところもあれば、数百万円あるいは数千万円必要な施設もあります。

数千万円となるとかなりの大金ですが、このくらい必要としている介護付き有料老人ホームでは、これが前払い家賃の意味合いを持つことが多いようです。

つまりは家賃の前払いであり、施設に入居中の家賃がかかりません。ただし食費のみかかるので、それは年金から支払うということになります。

つまり、入居費用で家賃の部分だけ先払いしておけば、家賃以外の月額費用で済むので、十分に年金での支払いが可能となるのです。

入居一時金には、このように前払い家賃の性格や、敷金の性格を持つものもあります。

月払い方式の介護付き有料老人ホームでは、入居一時金がゼロで月額費用がその分高くなるところもあります。

いずれの場合が良いのかは、手持ち資金と年金受給額から考えないといけません。費用をまとめると以下のようになります。

・一時金支払い方式(前払い) ※かかる費用全てを前払いします。
・月払い方式 ※この場合な入居一時金がゼロか、戻りのない手数料程度の一時金が必要になる場合があります。
・併用方式  ※家賃のみ前払いで食費などは月々支払う方式です。

入居一時金を支払う場合でも、退去した場合はその入居期間によっては差額が返金されることがあります。

月額費用の相場は、支払い方式によってもまちまちですが、月払い方式で考えると、15万円から30万円が一般的です。

介護付き有料老人ホームには高級施設もあり、そういったところは、月額費用が30万円以上といったものが相場となりますし、一般的に高級施設となると、入居一時金を一括で支払い、それが数千万円~数億円という高額なものになるようです。

※月払い形式で費用が20万円必要な場合は、年間費用は240万円となり、10年入居すると2,400万円です。これを考えると入居一時金が数千万円というのも、あながち高額というわけではありません。ただし、先立つものがあるかないかという違いになるのです。

●介護保険は適用される?

介護付き有料老人ホームの月額費用の内訳は以下の通りです。
・家賃
・管理費
・食費
・日常生活費
・介護サービス費用(1割~2割負担)
※月額払いの場合。入居一時金を支払う場合でも介護サービス費用は月々の支払いとなります。
介護付き有料老人ホームでは、24時間介護・介助サービスを受けることになります。入居者一人ひとりに介護保険が適用され、かかった介護サービス費用の1割ないし2割を支払うことになります。

●介護付き有料老人ホームは夫婦で入れる?

介護付き有料老人ホームでは、単身用の部屋や夫婦用の部屋が用意されているので、夫婦での入居が可能です。

費用については、月額費用は家賃の部分以外は、2人分かかる(2倍)ことになります。二人用の住まいですから家賃もあがります。

・夫婦で入居する場合の問題点は?

気をつけたいのは、夫婦ですから、2人で一部屋ということです。

当たり前のことですが、どちらかが重い認知機能低下になっていたら寝たきりの状態になってしまったときに、もう一人の健常者の負担が重くなることです。

介護付きですから、介護スタッフが常駐しているのですが、夫婦は常に一緒にいなくてはいけないという点です。そのため、元気な人の負担は計り知れないものがあるでしょう。

在宅介護の場合、夫婦別室も思いのままですが、介護付き有料老人ホームではそういうわけにはいきません。

将来的に要介護度が上がることも想定して、夫婦別室になることができるような、介護付き有料老人ホームにするか、夫婦同時入居でも、寝室が二つあるような施設にすることも考えた方が良いでしょう。

認知機能の低下が同時進行するとは限りませんし、同時進行したとしてもそれはそれで、夫婦が同室というのもお互いが負担になるかもしれません。

現在の傾向として、もちろん夫婦で入居するケースも少なくありませんが、元気な高齢者は在宅で、要介護度がすすんだ夫婦のどちらかが、介護付き有料老人ホームに入居するケースも少なくないのです。

それぞれ、ライフスタイルの考え方や夫婦のありかたがあるので、どれが正解というわけではなく、夫婦でしっかりと将来設計を考える必要があると言えます。

夫婦で入居すると出てくる問題点をまとめてみます。
・自宅より狭い
・常に2人きり
・外出に制限
以上の3点です。自宅より狭いのは当然で、居室兼寝室で一部屋か、居室と寝室が分かれていて2部屋ということになります。自宅よりも狭くなり、だんだん窮屈に感じることが少なくないようです。

また、24時間介護とはいっても、常に2人きりでの生活です。要介護度も違ってきますし、どちらかが元気であれば、次第に息が詰まってくるようなことも少なくないようです。

外出に制限があり、自由に外出できないのも、介護付き有料老人ホームの特徴といっていいでしょう。基本的に外出は集団行動ということになります。

●介護付き有料老人ホームの食事は?

食事は基本的に、介護付き有料老人ホームが用意します。栄養士が毎日献立を考えてくれるので、出されたものを食べることになります。

もっとも、食事の介助が必要な高齢者については別メニューの場合もあるようですが、それでも、希望の食事ということはなく、出された食事を日々淡々と食べることになります。

ただし、介護付き有料老人ホームでは、食事の介助と合わせて、加齢に伴う体の変化によって適した高齢者食を用意しています。

介助が必要な介護食と分けている施設も少なくありません。噛む力や飲み込む力はさまざまですし、やわらかさには特に調整が必要です。

決してのどに詰まることはなく、飲み込みやすい食事がメインになることは間違いありません。

介護付き有料老人ホームでの楽しみは、なんといっても日々出される食事です。

とろみをつけて飲み込みやすくした食事がメインとなりますが、大筋のメニューは変わらず、それでもそれぞれの状態にあわせた状態で食事が提供されます。

●介護付き有料老人ホームの生活は?

介護付き有料老人ホームでは以下の介護サービスを受けることができます。
・食事提供
・見守り・生活相談
・排せつ介助
・リハビリ(機能訓練)
・洗濯・掃除
・買い物代行
・入浴介助
・着替え介助
・レクリエーション
※リハビリについては施設によって内容が異なります。買い物代行は多くの施設で行われています。それ以外のサービスは、介護付き有料老人ホームの基本的な介護サービスとして行われています。ただし、介護サービス料が個別にかかります。

・生活パターンについて

午前・午後の食事の間に行われます。午前は散歩、午後からは食事の後の自由時間(昼寝等)夕食前にレクリエーションが行われることが一般的です。

レクリエーションは習い事や、入所者全員でのゲームなどが主となっています。夕食後は就寝まで自由時間となります。

●介護付き有料老人ホームは終身介護は可能?

ほとんどの介護付き有料老人ホームは、終の住処となるところです。

そのため、終身介護は可能となっています。寝たきりの場合は、居室での介護がほとんどとなります。

これは、提携専門機関の存在と「終身の介護加算」が認められたことによって、実現できているのです。

24時間の介護体制が介護付き有料老人ホームの特徴ですが、専門的な支援が行える有資格者の設置などの体制が義務づけられています。

また、介護付き有料老人ホームの介護職員についても、終身介護に関する研修が行われています。

●介護付き有料老人ホームの問題点

民間経営が基本の介護付き有料老人ホームなので、公的介護施設と比較すると、入居一時金や月額費用が割高の傾向にあります。

さまざまなタイプの介護付き有料老人ホームがあるので、介護付き有料老人ホームにどういったことを求めているのかが定まっていないと、老人ホーム選びに時間がかかることになります。

・入居時の費用・月額費用が高い

・選ぶのに時間がかかる(選択肢が多い)※メリットでもあり待機期間も少ない
・外部の介護サービスの利用ができない
・介護度の低い人には窮屈な生活となる

夫婦で入居する場合、どちらかが自立している場合、介護付き有料老人ホームでの生活はとても退屈したものになるでしょう。

自由時間もありますが、ほぼスケジュール通りに進んでいくので、自立している人にとっては窮屈さを感じ、この点が夫婦で入所する際の問題点となります。

●まとめ

夫婦で仲良く介護付き有料老人ホームに入居するのがベストというわけではありません。最初は良くても、要介護度の違いと居室の狭さから、次第に息苦しくなることもあるようです。

仲が良い悪いという問題ではなく、夫婦で介護付き有料老人ホームに入居する場合は、さまざまなことを考えたほうがいいでしょう。

性格の違いから、レクリエーションが楽しい、あるいは苦手というように、お互いが別行動になることも少なくありません。そうしたほうが良いケースもあり、常に夫婦二人で一緒と考えない方が良い場合もありそうです。

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