老人ホームに入居して良かったこと、困ったこと

老人ホームに入居することは家族の負担が大幅に減るためメリットも多い反面、介護される側にとっては今まで体験したことのない場所ですからトラブルなどになることも珍しくありません。
今回の記事では実際に親族を介護施設に入れられた方から老人ホームに入居したことで良かったこと、困ったことについてアンケートを実施し、その生の声をいただきました。(対象者52名 )
老人ホームに入って良かったこと
体力的にも負担が無くなり良かった
父が寝たきりなので時間ごとに体位を変えなければいけない状態で、母1人だけで介護していたため、母までもいつ倒れるか心配でした。
老人ホームに入所できて母は精神的にも体力的にも負担が無くなり良かったと思っています。
また父のことを施設スタッフ(生活相談員)の方が親身に相談にのってくれるので気持ちがとても楽になりました。
今までは必要以上に将来のことを不安に思うことが多かったのですが、他の入所者や家族のことを交えながらアドバイスしてくれます。大変施設スタッフの方には感謝しています。(有料老人ホーム 東京都)
トラブルに終止符を打ててホッとしています
特別養護老人ホームに入居してもらってよかったことは、間違いなくメインで介護していた私のストレスが軽減されたことです。
特養に入居してもらう前は、嫁である私にいつもワガママや無理難題を突きつけてきたりすることも多かったですし、私との口喧嘩もかなり激しくやりあっていました。
私自身、義母と嫁と言う関係上、以前からあまり仲が良かった訳ではありませんから、介護が必要になり、認知機能が低下したことによる状態が悪化したことで、義母も理性がなくなってしまったことで更に私たちの関係は悪化する一方だったので、そのトラブルに終止符を打ててホッとしています。(特別養護老人ホーム 千葉県)
何かあった時のことを思えば、やはり良かったと
正直、食事や排泄、入浴など、老人ホームではすべてやって頂けて助かります。
左半身が不自由で車椅子の祖母なので、家で一人にはさせられませんし、昼間は皆、仕事で無人なので……何かあった時のことを思えば、やはり良かったと思います。在宅介護するなら、誰かが仕事を辞めねばなりません。
一人で立てないのに、何かあると立とうとするので、転んだら命に関わりますし。あと、とろみのある飲み物や、塩分控えめな食事なども、健康維持の為には良いと感じます。(有料老人ホーム 大阪府)
認知機能の維持にも助かってます
老人ホームに入ってもらって良かったのは、施設が新築で清潔だった点、栄養士によるバランスの良い介護食を毎食提供してもらえる点、昼食後はイベントを催してくれるのでボケ防止が出来た点ですね。
施設が新築だったので台風直撃といった悪天候でも安心出来たのは大きかったです。
それに食事は提供されますから買い物に出かけなくても良いですし、ほんと楽でした。あと平日は毎日のように習い事やイベントを催してくれたので、他の入居者とのコミュケーションもとれましたし認知機能の維持にもなって助かってます。(特別養護老人ホーム 滋賀県)
生き生きした表情をしていました
老人ホームに入ってよかったことは、お風呂にきちんといれて頭もきれいに洗ってくれることです。
自宅にいたときは、歩くことができなくて四つん這いで移動しているし、体重が重くてお風呂で髪の毛を洗うのは一か月に数回程度でした。頼めばきれいに散髪もしてくれます。
あと、他の入居者とお話しする機会があるし、行事もあるので生き生きした表情をしていました。家にいるときは、家族以外だれも接していなかったので。本人の刺激になったと思います。(有料老人ホーム 東京都)
以前より刺激的な日々を送れているようで、とても良かった
何よりも、家庭が落ち着いた事にあります。家族の責任でもあるとは思いますが、生活の負担が明らかに減りました。
入居した本人も、軽度の認知機能低下の傾向はありますが、友人を作り、以前より刺激的な日々を送れているようで、とても良かったと思います。
住宅街にある小さな施設ですが、入居されている方々はストレスが少なく、街の喧騒から離れている事の利点を感じます。
他の入居されているご家族と話をする機会がありましたが、入居されることで家族の安定性が増える事は、どこの家庭も同じであると確信しています。(グループホーム 兵庫県)
食事の管理もしてくださるので健康面でも安心
寒いときには暖房を、暑いときにはクーラーをと、常に過ごしやすい気温に整えていただけているので、管内の移動の時も安心できます。(体温が上がり過ぎるなどの心配がないので)
食事の管理もしてくださるので健康面でも安心です。またクリスマスや誕生日などはイベントを企画してくださるので、退屈せずに楽しく過ごせていると思います。他の入居者の方々とコミュニケーションをとれるので、寂しくないと思います。バリアフリーなのでつまずいて転んだりの心配もありません。()
家族も私も安心して寝られるようになった
老人ホームに入ってもらって良かったと思ったのは四六時中必要だった介護をしないといけないという事態は避けられたという点です。
おかげで夜中くらいは落ち着いて暮らせるようになったというのは良かったです。老人ホームに入ってもらう前は夜中だろうが日中だろうが関係なしに常に何かあったら面倒を見ないといけない状態でした。
ですが、老人ホームに入ってもらったおかげでその事態は避けられたのでそこは良かったと思っています。おかげで家族も私も安心して寝られるようになったというのはありました。
老人ホームに入居するメリット
やはり介護の負担が減ったというメリットが良かったという意見が多いですね。
介護は仕方のないものと覚悟していてもいざやってみると想像以上に大変だったということに遭遇します。
そして介護は子育てのように終わりがありません。
ずっとこのままこの生活が続くのか…?いつまでこの生活を続けるのだろう?ということが精神的負担になってしまうことも珍しくありません。
そういった精神的負担をなくすためにも費用は在宅介護と比べてかかるものの、老人ホームというのは一つの良い選択肢といえるでしょう。
老人ホーム(有料老人ホーム・特養)に入って困ったこと
とはいえ、老人ホームに入居したことによってトラブルが発生することも珍しくありません。
最も多いのは入居者がほかの方や施設側に対してトラブルを起こしてしまう心配、そしてその逆でほかの方のトラブルに巻き込まれてしまうことです。
以下アンケートの結果です。
隣の人のいびきがひどい
祖母が茨城の老人ホームに入居しています。老人ホームに入ってもらって困ったことは、一緒に生活をしていないせいか自分の子どもの名まえを間違えることが多くなりました。
あと、利用している部屋が2人部屋だったのですが、隣のおばあさんが寝るときのいびきがすごいらしく、私の祖母は寝れないと言っていました。相部屋にするのであれば、同じくらいの認知機能の人同士にしてほしいと思いました。あと、体重が軽くなったので大丈夫かなと心配になりました。(特別養護老人ホーム)
目の行き届かないうちに周りの方に迷惑をかけているのではないか
母が老人ホームに入居してから、家庭内は随分と落ち着きました。軽度の認知機能低下をきっかけに入居、その後の悩みといえばやはり、目の行き届かないうちに周りの方に迷惑をかけているのではないか、という家族の不安感でした。
ちろん施設の方にご迷惑を掛けているのは承知でしたが、家族の者が面倒を見られないという自らを「情けないなあ」と思う感情が抜けきれず、一時は施設からの退居を考えましたが、現在もお世話になっています。
自宅に帰りたいと駄々をこねる
自宅に帰りたいと施設のスタッフの方々に駄々をこねているという報告を受けるときはご迷惑をかけているのではと困ります。また自由に使えるお金などあまり持たせていないのでお金を要求されると困ります。
他の入居者の方に気に食わない方がいるときに、なんせ見ていないところでのことなので相手の方がぼけているのかこちらが記憶違いをしているのかなど内容の程度や真偽がわからないのでトラブルになるのではないかと心配になります。
「誰かが盗んだ」と騒ぐ
月々の料金が、それなりにかかります。以前の施設よりは下がったものの、月に十数万円。
なかなかキツイです。至れり尽くせりのお世話をして頂いているので、仕方ないとは思いますが。
また祖母が、同じ部屋の高齢女性にきつく当たっているらしく、家族として申し訳ない。やめてと、何度も言っていますが家に帰れないことや、集団生活のストレスをぶつけてしまっているのかもしれません。
祖母が、物が見当たらない時に「誰かが盗んだ」と騒ぐのも……(いつも勘違いです)。
身体的な問題を抱えていても
祖母に老人ホームに入居してもらったのですが、困ったのは身体的な支援の関係です。
祖母は、身体の問題で定期的に見てももらう必要があるのですが、そこでは対応できないようなことが多かったんです。
かかりつけのところまで通ってしていました。
残念ながら、老人ホームでは送迎のヘルプはしてもらえないので、両親か孫である私が都合をつけて祖母を送り迎えをしていたんです。これが何気に大変でした。
「帰宅したい」の連呼で回りのスタッフをだいぶ困らせていました
入所家族は、95歳の祖母になりますが、以前は自宅で一人暮らしをしておりましたが、家の中で転び大腿骨を骨折入院してから一人では生活できない事情と世話人(私の義父母)が遠方に住んでいるため施設に入れざるえなかったのですが、入所を非常に拒み、本人から承諾を得る迄に相当の説得と時間がかかった。
入所後1ヶ月は周りと中々打ち解けず、「帰宅したい」の連呼で回りのスタッフをだいぶ困らせていました。またイベントなども参加せずに完全に孤独状態であったことに手をやきました。
老人ホームで入居してからのトラブルを防ぐために
老人ホームという特性上認知機能が低下している方が同居されますが、場合によって他人に対して攻撃的になったりすることもあるからです。また比較的軽度の認知機能低下している方によく見られる物盗られ妄想といわれる妄想によるトラブルもよくあります。
「誰かに財布を盗まれた」「あの人が私の私物を盗んだ」という誰かが自分のものを盗んだという認知機能によくある妄想によるものですが、周囲の人を困惑させたり怒らせたりしてしまいトラブルになってしまうケースもあります。
これらのトラブルを避けるためにもあらかじめ見学の際に入居者同士のトラブルがないかなどもチェックしておく、そしてスタッフにも認知機能低下で現れる行動をしっかり話しておく必要があります。
一方老人ホームに入所当時によく見られる「帰宅したい」「自宅に帰りたい」と要介護者の帰宅願望ですが、これらは一か月程度でほとんどの人が慣れてくるそうです。