介護をしたくない!介護ストレスの軽減方法は?

今この文に目を通している方は、毎日続く親の介護に大きなストレスを感じているのではないでしょうか?

自宅で親を介護するというのは、介護職員が高齢者を介護するのとはまた違った苦労や負担があります。

在宅介護で親を支えている方は、孤独になりやすくストレスも溜め込みやすいものです。

その結果、介護で心のバランスを崩したり「もう介護なんてしたくない!!」と気持ちが爆発することも珍しくありません。

今回は、介護によって抱え込みがちなストレスを軽減するための方法を紹介していきましょう。

介護で感じる4つのストレス

介護のストレスを軽減するためには、そもそも自分が何に対して、何が原因でストレスを感じているのかを明確にすることが大切です。

原因がわかれば、具体的な解決方法もわかります。

多くの人が介護で感じやすいストレスを紹介していくので、読み進めながら自分のストレスの種類を整理してみてくださいね。

肉体的なストレス

毎日親を介護するのは、本当に大変なことです。

親の移乗や移動を手伝ったり、排泄や入浴に付き添ったり、シンプルに体を使うことも多いので肉体的な負担(ストレス)がたまりやすいですよね。

介護がきっかけで腰を痛めそうになってはいませんか?

親の要介護度によっては、排泄介助が必要で夜中に何度も起きなければいけないということもあるでしょう。

徘徊癖があれば、徘徊が心配で夜もまともに眠れないということもあります。

在宅介護をしていると慢性的な睡眠不足になりやすく、常に疲れを溜め込んだまま介護にあたっているという方も少なくないでしょう。

精神的なストレス

介護における精神的な負担(ストレス)というのは、本当にさまざまなものが考えられます。

自分を育ててくれた親が、介護が必要になった姿を見て落ち込んでしまう。

一生懸命介護をしているのに、親から感謝もしてもらえずにつらい。

周りの家族が介護に協力してくれなくてイライラする。

こちらが考えているように食事を食べたり、眠ってくれない。

夜中に何度も起こされてしまう。お金や物を盗ったり隠したと疑われて悲しい。

肉体的なストレスは、限界近くまで溜まると腰が痛くなったり、意識がぼーっとしたり、なにかしらの体にあらわれるのでまだわかりやすいです。

しかし、精神的なストレスが溜まっても肉体的なストレスのような目に見える変化があらわれにくいので、ある日突然ぷつんと糸が切れてしまう危険があります。

時間的なストレス

親の要介護度にもよりますが、介護は時間がかかるものです。

食事を食べさせる、おむつを変える、体位変換する。

ひとつひとつの介助にかかる時間は短いかもしれませんが、1日の中で介護が必要なタイミングが細切れでやってくるので、結局1日中介護をしているような感覚になります。

また、徘徊する可能性があったり、足腰が悪く転倒することが多い場合は常に見守る必要も出てくるため、自分のための時間を確保できずにストレスを感じてしまいます。

金銭的なストレス

介護というのは親の生活を支えるためのものですから、介護にかかる費用は親の資金から捻出するのが当然だといえるでしょう。

しかし、誰もが十分な介護を受けるための資金を蓄えられているわけではありませんし、子供が足りない分の介護費用を捻出するケースもあるでしょう。

ただでさえ、自分一人で生きていくのも大変な世の中です。

結婚をしていれば、親だけでなく自分の家族の生活も支えなければいけません。

介護は終わりが見えないマラソンですから、金銭的なストレスや不安を感じざるを得ないでしょう。

肉体的・精神的な介護ストレス軽減方法

介護で感じるストレスを4つに分けて紹介しましたが、実際には「肉体的なストレス」が溜まることでイライラしやすくなって「精神的なストレス」が増える、

時間的なストレスが増えることで、友人と会ったり誰かと話す機会が減って「精神的なストレスが増える」といったように、それぞれのストレスは深く絡み合っているものです。

また、一人一人が実際に感じているストレスというのは多種多様であり、ここでは紹介できないようなストレスも抱えているでしょう。

そんな様々な介護のストレスを軽減するための方法を

「制度を利用したストレス軽減法」

「考え方の切り替えによるストレス軽減法」

「日常的、気軽にできるストレス軽減法」の3つに分けて紹介しましょう。

制度を利用したストレス軽減方法

介護のストレスは、介護サービスや行政の介護支援の制度を利用することで大幅に軽減できる可能性があります。

つらいときは、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談!

介護をする中でなにか困ったことがあったり、介護をつらいと感じるならケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しましょう。

ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談する場合は、「なるべく具体的に相談をしなければ!」と考えるかもしれません。

確かに「〇〇のサービスを利用したいんですけど、費用はいくらくらいかかるものですか?」といったように具体的な相談の方が対応はしやすいでしょう。

しかし、ストレスを抱えている状態だとなにを相談すればよいのかすらわからなくなり、相談をためらってしまうことも珍しくありません。

具体的に何を相談すればよいのかわからなくてもよいのです。

ケアマネジャーや地域包括支援センターで、「介護費用が足りるかわからなくて不安です。」「1日中介護をしていて、もうつらいです。」「親にイラついてしまい、手をあげてしまいそうになります。」といったように漠然とした不安や悩みを打ち明けるだけでも問題ありません。

そういった気持ちを聞けば、ケアマネジャーや職員さんも「あぁ。この人は介護に大きな負担を感じているんだな。」と理解し、上手にこれからどうしたいのか?今なにが必要なのかという部分を聞き出し、適切な解決策を提示してくれます。

介護保険サービス、介護保険外サービスの利用

結局のところ介護ストレスを軽減する一番の方法は、「介護をしないこと」です。

介護をしなければ体が疲れることはありませんし、心に負担をかけることもありません。

自分が好きなことができる時間も増えます。

かといって、あなたが介護を完全に放棄すれば親の生活は成り立たなくなるでしょう。

そこで利用するべきなのが、介護保険サービス、介護保険外サービスなのです。

例えば、次のような介護保険サービスがあることをご存知でしょうか?

訪問介護…自宅にホームヘルパーが訪れ、排泄、入浴、食事といった介助をしてもらえる

デイサービス…朝から夕方までの時間だけ日帰りでデイサービスセンターや福祉施設に親が足を運び、食事や入浴、レクリエーションといった介助をしてもらえる

ショートステイ…介護施設で親を数日間預かってもらえる(宿泊)

訪問介護を利用すれば、普段あなたが行っている介助の一部をホームヘルパーに変わってもらえますし、デイサービスを利用すれば、日中の間に自由な時間が生まれます。

ショートステイを利用すれば、数日間だけですが介護生活から開放されます。

特にショートステイは、「レスパイトケア(介護者の休息)」として用いられることが多いため、ぜひ利用して介護保険サービスです。

また、要介護度によっては希望する介護保険サービスを利用できないケースが出てきますが、そういったときは介護保険外のサービスを利用する手もあります。

料金は割高になりますが、配食サービスやホームヘルパーなどあなたの介護の負担を軽減してくれるサービスが存在します。

介護費用の軽減制度の利用

介護をしていて金銭的なストレスを感じている場合は、自分が利用できる介護費用の軽減制度がないか確認してみましょう。

公共の介護費用の軽減制度としては、次のようなものがあります。

高額介護サービス費支給制度…介護保険を利用して発生した自己負担の合計金額が定められた条件を超える場合は、超えた分の費用が払い戻される

施設の食費、居住費の軽減制度

ショートステイや介護保険施設を利用したときに発生する食事や滞在費(原則全額自己負担)に対して、1日あたりの自己負担の限度額が定められ費用を軽減できる。

他にも各市町村で独自の軽減制度を用意していることもあります。

ただし、毎日介護に追われていると、こういった制度を調べる余裕さえもなくなります。

そう考えると、やはり金銭的な面についてケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみるのが良いですね。

介護施設へ入居してもらうという選択肢

上で紹介したような介護サービスや介護費用の軽減制度を上手に利用しても、在宅介護を続ける限りはストレスがゼロになることはありません。

要介護度が高ければそもそもの負担が大きすぎて、介護サービスの利用だけではどうにもならないというケースもあります。

そんなときは、親を介護施設へ入居させるという選択肢も検討しましょう。

世の中にはまだまだ「施設に親を預けるなんて、親不孝だ!」といった考え方を持った方もいます。

しかし、食事、排泄、入浴などの介護をしてもらう場合、「プロである介護職員による介護」と「素人である子供による介護」、親にとってはどちらのほうが負担が少なく快適でしょうか?

高齢者が生活することを前提に作られた介護施設と、家中に小さな段差があり狭い浴室の自宅では、どちらのほうが親は快適に生活できるでしょうか?

もちろん、「住み慣れた家で過ごしたい。」「家族と一緒に暮らしたい。」といった親の希望もありますが、介護施設にも親が快適に過ごせるための環境が整っているのです。

介護施設へ親を入居させることは、決して親不孝なことではありません。

在宅介護をしていると、ストレスが溜まることで親との関係が悪化するケースも多いです。

しかし、介護施設に入居してもらえば、昔と同じように仲の良い親と子の状態で面会ができます。

介護によるストレスが限界に到達する前に、介護施設への入居を検討しておいたほうがよいでしょう。

考え方の切り替えによるストレス軽減方法

特に介護における精神的なストレスには、本人の考え方が深く影響していることがあります。

やはり、昔ながらの考え方に縛り付けられている方は少なくありません。

そういった介護に対しる考え方を切り替えるだけで、ストレスを軽減できるかもしれません。

自分が最期の砦だと思い込まない

介護で大きなストレスを抱えている人は、「私がやらないと誰も介護をできない…。」と考えて、自分を最期の砦だと思い込みがちです。

しかし、在宅介護をしている子供には、親を介護施設へ入居させるという選択肢が残っています。

もちろん施設に預けるとなれば費用面などの心配も出てきますが、本当に厳しいなら親に生活保護を受給してもらい、その費用で施設の費用を賄うといった方法もあります。

行政の制度を利用して介護費用の負担を軽くすることもできます。

ようするに、介護の最期の砦は「子供による在宅介護」ではなく、「介護施設」だということです。それが分かっただけでも、心に重くのしかかっていた負担が軽くなるでしょう。

周りと比較しない

親を介護していると、同じように周りで親を介護していたり過去に親を介護していた経験を持つ先輩と知り合うこともあります。

介護経験がある仲間ができるのはとても良いことですが、周囲と比較することだけはやめましょう。

例えば、しっかりと介護をしているのに周りの親よりも自分の親のほうが体の状態が悪化するのが早いことだってあります。

そうなると「自分の介護がいけないんだ。私は正しく介護ができていないんた。」と自分を否定しています。

介護の進み具合は人それぞれであり、どんなに素晴らしい介護を提供できても状況が悪化する人は問答無用で悪化するものです。

今まさに頭を悩ませるほどストレスを抱えているということは、それだけ介護に真剣に向き合っている、しっかりと介護をしているということです。

むやみに周りと比較して自分を責めるのは、今日でおしまいにしましょう。

「いつ終わるの?」から「必ず終わるもの」にと切り替える

介護は、終わりが見えないものです。

「この介護はいつ終わるんだろう…。」「本当に終わるのかな…。」とどん底にいるような気持ちにもなります。

でも安心してください。ひどいことを言うようですが、人間誰しも命には限りがあります。

必ず親の命はいつか尽きて、介護から解放される日がやってくるのです。

「こんな苦しみいつ終わるんだろう…。」と自ら絶望の淵に経つのではなく、「いつ終わるかはわからないけど、絶対にこの生活もいつか終わるんだな。」と少し楽観的に考えるとすっと気持ちが軽くなるかもしれません。

親の介護のために全力を尽くさない

在宅介護をしている子供は、自分の生活をすべてなげうってまで親を介護しようとする傾向が強いです。

「親の介護は子供がするもの。」「育ててもらった恩を返す。」といった考え方が昔から根付いている影響でしょうか?

育ててもらった恩を返したいと考えるのは立派なことですが、子供には自分の生活を有意義なものにする権利があるはずです。

親だって自分の介護が原因で、子供が望んでいないような生活をするのは堪えるでしょう。

「親のために全力で頑張ろう!」という考え方を捨てて、「親の生活もそうだけど、自分の生活も大事だよね。」と考えるようにするだけでも、肩の力が抜けてストレスも軽減されるかもしれません。

日常的なストレス軽減対策

介護保険サービスを利用したりするだけでなく、日常生活に少し工夫するだけでストレスを軽減できることもあります。

身近な相談相手を作る

ケアマネジャーや地域包括支援センターは、とても頼りになる相談相手ですが、日常のちょっとした相談をしたり、ぽろっと不満を口にするのは気が引けます。

そういった小さな相談や不満を口にできる身近な相談相手を作っておくのも良いでしょう。

例えば勤務先にも同じように親の介護をしている人や、すでに親の介護を経験した先輩がいるかもしれません。

昔から付き合いのあるご近所さんもちょっとした相談相手になってくれるかもしれません。

お互いの相性が悪いと、ちょっと相談をしただけ、ちょっと不満を口にしただけなのに口論になってしまうこともあります。

「この間、ちょっと目を離した隙に畳んだ洗濯物をぐちゃぐちゃにされてさ。」「うちでもよくあるよ。もう畳まずに置いておいて方が楽だよねぇ。」といったように気楽に会話ができる相談相手なら、毎日積み重なるストレスをプチ解消できます。

家族と協力できる体制を作る

たくさんのストレスを抱えている場合は、一人で介護と向き合っている可能性が高いです。

もしも、介護が必要な親と同居している家族が他にもいるなら、家族と協力できる体制を作りましょう。

自分の子供を介護に協力させるのは気が引けるかもしれませんが、夫や妻には協力してもらうべきです。

特に多いのは、夫の親の介護に妻が一人で向き合っているケースです。

夫は仕事を理由に介護に協力しないケースもありますが、ハッキリ言えば1日中介護に携わるより、外で仕事をしていたほうが楽な場合がほとんどです。

もしも、自分の夫や妻が介護に非協力的なら、なにかしら理由をつけて休日に親の介護をお願いしてみてはどうでしょうか?

たった1日の介護だけでも、その大変さを実感でき、考え方が変わるかもしれません。

そのうえで、一人で介護を抱えているつらさ、協力してほしいという気持ちを伝えることで介護に協力的になってくれるかもしれません。

このとき、今まで感じていた介護の辛さを思いっきりぶつけてしまうと、夫婦仲に大きな溝ができてしまう危険もあります。

思いっきりぶつけたい気持ちはぐっとこらえて、あまり感情的にならないように気をつけましょう。

家族で協力して介護ができるようになると、自然と家の中で「昨日はお父さんなかなか寝てくれなかった。」といったように小さく愚痴をこぼせるようになり、ストレスを溜め込みにくくもなります。

日記に不満を書き出す

家族や身近な人に、日々の介護のストレスや不満を打ち明けられるだけでも負担は軽くなります。

しかし、そもそも打ち明けられる人が身近にいなかったり、そういったネガティブな感情を他人に打ち明けられないという方もいるでしょう。

そういった場合は、日記にストレスや不満を書き綴るのがおすすめです。

キレイな日記を書く必要はありません。感じたストレスや不満をありのまま言葉にしてよいのです。

日記の文章には汚い言葉も並ぶかもしれませんが、本音を書き出すからこそ負担が軽くなります。

後から日記を見返したら、「こんなことを考えるなんて、自分はひどい人間かもしれない。」と感じるかもしれませんが、安心してください。

外では「親のために介護を頑張らないとね。」と明るくポジティブなことを口にしている人だって、心の中ではイライラしていたり、ネガティブな感情を抱えているものです。

自由な時間に好きなことをする

介護保険サービスのショートステイやデイサービスを利用すると、自由に使える時間がぐっと増えます。

この時間で普段はできない家事などを済ませるのも悪くはありませんが、必ず自分が好きなことをする時間を作りましょう。

一人でカラオケに行ってもよいですし、カフェでコーヒーを飲みながらほっと一息つくのもよいですね。軽く散歩をして体を動かすと、沈んでいた気持ちも晴れやかになるでしょう。

デイサービスの利用だけでは難しいですが、ショートステイを利用して数日間のまとまった時間が取れたら、家族で旅行に行ってもいいですね。

「親を施設に預けて旅行なんて、施設の職員さんに怒られそう…。」と思うかもしれませんが、安心してください。

施設側も在宅介護における休息の必要性を理解していますから、「どちらに行かれるんですか?楽しんできてくださいね!」と快く親を預かってくれます。

仕事をする

奥さんが親の介護を理由にそれまでしていた仕事を辞めたり、パート勤務を断念することは多いです。

こうして仕事もやめて介護に専念すると、自宅以外の外の世界とのつながりが途端に無くなってしまい、強烈な孤独を感じてしまいます。

思い切って介護サービスを利用してまとまった時間を作り、その時間でパート勤務をして外とのつながりを持ってみてはいかがでしょうか?

外とのつながりがあるだけで「自分は介護のために生きているんだ。」という考えは減ります。

在宅介護をしながら仕事をしている人が「仕事をしている時間は介護から解放されて楽だった。」と口にすることも多いです。

「お金を稼ぐ」という意識ではなく、「外とつながる」という意識でパートなどを始めるのもよいかもしれません。

まとめ

在宅介護をしていると、「肉体的、精神的、時間的、金銭的」なストレスを抱え込みがちであり、ストレスが原因で介護うつになることも珍しくありません。

在宅介護をしている人は必ず大なり小なりストレスを感じますが、「みんなストレスを感じているんだから、私も我慢しなくちゃ。」と考える必要はないのです。

介護におけるストレスは、さまざまな方法を駆使して軽減・解消するべきなのです。

介護保険サービスを積極的に利用する、介護に対する考え方を変える、外との関わりを持つ。

今回紹介した方法を実践して日々のストレスを軽減し、無理なく介護を続けられる状態を保てるように心がけましょう。

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