介護に関するお仕事がすぐわかる!介護の専門家のお仕事一覧

親の介護が始まってみると、施設で働く介護職員だけでなく、ケアマネジャー、理学療法士など意外に多くの専門職の方の協力が必要になることに気づきます。

しかし、それぞれの専門職の名前は聞いたことがあっても、具体的にその人がどんなお世話をしてくれるのかまでは知らない方が多いです。

今回は、親の介護が始まったばかりの方のために、これからの介護でお世話になるさまざまな職種について紹介していきましょう。

介護職員

親がなんらかの施設に入居している場合は、施設の介護職員に日常生活のお世話を介助してもらうことになります。

介護を受ける側からすると、施設で働いていたり、自宅に訪問して介助をしてくれる人は「介護職員」「介護福祉士」といったようにひとまとめにして認識しがちですが、実際には持っている資格などにも違いがあります。

施設で働いている職員がどの資格を持っているのかを一目で見極めるのは難しいですが、それぞれの違いを覚えておいて損はないでしょう。

介護福祉士

施設で働くすべての介護職員を「介護福祉士」として認識している方も多いかもしれませんが、これは間違いです。厳密にいえば、介護福祉士というのは「介護福祉士」という国家資格を取得している職員のことをいいます。

施設などでいわゆる介護の仕事をしている職員の中には、介護福祉士の資格を持っている人も持っていない人も存在します。

介護福祉士の資格を持っている職員も持っていない職員も、実際に携わる業務内容に大きな差はありません。

しかし、介護現場での最上位ともいえる介護福祉士の資格を持っている職員は、介護に対しての高い技術と豊富な知識を持ち合わせています。

介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)

施設で働きながらも国家資格を持っていない職員も少なくありませんが、こういった職員の多くは「介護職員初任者研修」という認定資格を取得(研修の修了)しています。

介護職員初任者研修というのは、いわば介護職員として働くための入門資格のような存在です。

介護福祉士に比べれば圧倒的に技術や知識量は劣りますが、研修を通じて介護の仕事をするための最低限の技術と知識を身につけています。

介護福祉士実務者研修

施設で働く職員の中には、「介護職員実務者研修」という認定資格を取得(研修の修了)している方もいます。

介護福祉士実務者研修は介護職員初任者研修の上位資格となっているため、初任者研修を取得している人よりも技術・知識ともに豊富だと言えます。しかし、国家資格である介護福祉士を取得している人には及びません。

また、専門学校などの養成施設を卒業せずに介護福祉士の資格を取得するためには、実務経験が3年以上であり、なおかつ実務者研修の受講・修了をしている必要があります。つまり、介護福祉士の資格を持たずに介護職員として働き出した多くの人は、「介護職員初任者研修」→「介護職員実務者研修」→「介護福祉士」という順でのステップアップを目指しているのです。

現場で働いている多くの介護職員がいずれかの介護の資格を取得して、高齢者の介護に従事しているということになります。

ホームヘルパー(訪問介護員)

施設ではなく自宅で暮らす要介護者の日常生活の援助をするスタッフは、「ホームヘルパー(訪問介護職員)」と呼ばれています。

要介護者の自宅を決められた時間に訪れ、食事、買い物、着替え介助、入浴、排泄といった必要な介護サービスを提供します。

基本的な仕事内容は施設で働く介護職員と似ていますが、自宅に訪れることから「お手伝いさん」「家事代行」というイメージが定着しています。しかし、ホームヘルパーはあくまで要介護者を介護する人であり、要介護者の日常生活の支援を超えた大掃除、要介護者と同居する家族の食事作りといった仕事を頼むことはできません。

あくまでホームヘルパーは介護のプロですから、ホームヘルパーを利用する側も本来の仕事内容を超える依頼をしないように注意しましょう。

ガイドヘルパー(移動介護従事者)

ガイドヘルパーは、1人での移動が困難な方と一緒に外出し、サポートをしてくれるスタッフのことです。

例えば、身体的な機能が原因で、外出先でのコミュニケーションや移動など、外出が難しい人もいます。

ガイドヘルパーを利用すると、こういったポイントを適切にサポートしてもらえるため、1人では外出が難しい方でも自分が希望する場所に外出しやすくなるのです。

ガイドヘルパーに関しては以下の3つの資格がありますが、市町村によって外出援助についての決まりが異なり、それぞれの資格を持っていなくても介護初任者研修以上の資格があればガイドヘルパーの業務が可能なケースもあります。

ケアマネジャー(介護支援専門員)

介護が必要になったほとんどの方がお世話になるのが、ケアマネジャーです。世の中にはさまざまな介護保険サービスがありますが、サービスを利用するためには「ケアプラン」を作成する必要があります。このケアプランの作成を担っているのが、ケアマネジャーなのです。

すでに親の要介護認定が済んでいるなら、一度はケアマネジャーとお会いしていることでしょう。また、ケアマネジャーは利用者の状態に合わせて随時ケアプランの見直し・改善をする必要があるので、定期的に利用者の元を訪問します。親の介護が続く限り、ケアマネジャーとの関係も続くと考えましょう。

親の介護が始まった段階でケアプランを作ってもらうだけでなく、介護を続ける中で「こんなサービスを利用したい。」「親がデイサービスに行きたがらない…。」といった希望や悩みが出たときの相談先としてもお世話になります。

社会福祉士(ソーシャルワーカー)

ソーシャルワーカーとも呼ばれている社会福祉士は、国家資格のひとつです。社会福祉士は福祉サービスを利用する人の相談役であり、生活環境の変化などによって、通常の生活を送れなくなった人からの相談を受け、今後の生活が安定するようにサポートをします。

相談役という意味では、ケアマネジャーと同じ仕事内容だと勘違いされることもありますが、ケアマネジャーが対応するのは介護サービスを必要としている人にとどまります。

しかし、社会福祉士の場合は「高齢者介護」だけでなく、「障害者支援」「児童福祉」「生活保護」といった幅広い分野が相談の対象となります。

また「介護福祉士」とも名前が似ていますが、介護福祉士は施設などで利用者介護をするのに対して、社会福祉士は直接利用者を介護したりするわけではなく、日常生活に生じる問題や悩みに関する相談を受け、その解決策を提案するのです。

人生のさまざまな場面でお世話になる可能性がありますが、介護の場面に限っていえば社会福祉士よりもケアマネジャーへ相談する機会の方が多いかもしれません。

セラピスト

年齢とともに体のさまざまな機能が衰え、ふとしたことで生活が一変しやすい高齢者には、リハビリテーションが欠かせません。

体の機能低下や改善のためのリハビリをしないと、本来の体の機能が失われて要介護度があがってしまう可能性もあります。

そんなリハビリをする人のことを「セラピスト」と呼び、介護では理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のお世話になることが多いです。

どんな高齢者も、老化によって体の機能は少しずつ衰えていくことを考えると、介護施設などさまざまな場面でセラピストのお世話になるでしょう。

理学療法士(PT)

介護の現場では「PT」と略されて呼ばれることが多い理学療法士は、生活基本動作の運動機能低下のリハビリを専門に行います。生活基本動作というのは、具体的に起き上がる、座る、立つ、歩く、寝返りを打つといったものです。

主に関節可動域訓練、筋力トレーニングといった運動、超音波が出るリハビリ機器や温熱を利用する物理療法を用いてリハビリを行います。

作業療法士(OT)

「OT」と略されて呼ばれることが多い作業療法士は、その名前からも理学療法士と混同して認識されがちです。

しかし、理学療法士が日常生活の基本動作のリハビリをサポートするのに対して、作業療法士は日常生活の作業動作のリハビリをサポートするという違いがあります。

作業動作の内容は、トイレ、着替え、食事、入浴、洗濯、炊事といったように生活をする中で欠かせない動作のことです。理学療法士が担当する基本動作よりも、さらに幅広い応用的な動きのリハビリに対応しています。

また、理学療法士とは違い、体だけでなく心のリハビリにも携わるのが特徴的な部分でしょう。

作業療法では、実際の生活で着替えが難しいなら段階を踏んで着替えの動作を習得するといったように、実際にこれから行いたい動きを想定してリハビリをするケースが多いです。

言語聴覚士(ST)

「ST」と略されて呼ばれることが多い言語聴覚士は、話す・聞く・食べるといった機能に問題がある方のリハビリをサポートします。

理学療法士や作業療法士と比べると、サポートする範囲がハッキリしているのが特徴的です。話す・聞く・食べる、いずれの動作も口を使うものですから、リハビリでは口の動きを良くする運動などが多く用いられます。

高齢者の場合は「飲食物や唾液が食道ではなく、気道に入ってしまうこと」が起こりやすく、危険です。言語聴覚士は、こういったリスクを予防するために食事の食べ方、姿勢などについても指導をすることがあります。

8.管理栄養士

デイサービスや施設で高齢者が口にする食事を作ったり、栄養管理を行うのが国家資格を取得している管理栄養士です。

高齢者になると、どんな栄養が不足しているのか、固いものは食べにくいのか、といった食事に関する情報は、一人ひとり大きく変わってきます。施設などに務める管理栄養士は、施設内で食事をとる一人ひとりの高齢者の情報に配慮して、元気に過ごせしてもらうための食事を提供するのです。

介護をする中で直接管理栄養士の方と関わる機会は少ないかもしれませんが、提供されている食事はしっかりと栄養面にも気を配られていることは覚えておきましょう。

まとめ

介護をする中で主に関わることが多い仕事を紹介しましたが、いかがでしたか?実際に親を介護する中では、自分から「作業療法士さんにお願いしよう!」「ガイドヘルパーさんを呼ぼう!」と動くというよりも、担当のケアマネジャーから提案されることが多いでしょう。それでも、実際に今自分の親にどんな方が関わっていて、どんなサービスやサポートをしてくれているのか把握しておくと介護への理解も深まります。

介護には本当に多くの職種の方が関わっています。これからの介護でも「こんなサービスをお願いしたいけど、誰(どの職種の人)にお願いすればいいんだろう…。」と悩むこともあるかもしれせんが、そんなときは一人で悩まずに担当のケアマネジャーに相談して、適切な職種の方やサービスを見つけましょう。

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