夫婦で老人ホームで入れる?

ほとんどの老人ホームは1人部屋で、介護が必要になってから入るため、最後は夫婦別々の暮らしを送る人がほとんどです。
しかし、一部の老人ホームには2人部屋があり、夫婦で同じ部屋で生活することができます。
最後まで夫婦で暮らし続けたい方や、
家族に介護の負担をかけたくない方、
家事や買い物が大変になってきた方、
などに特に人気で、夫婦で入れる老人ホームを探す方が増えています。
しかし、一般的な老人ホームの選び方と違い、夫婦で同じ老人ホームを選ぶときのコツや注意点があります。
安心な老後のために必要な、知識や夫婦部屋の選び方を、福祉の専門家の視点から紹介していきます。
夫婦部屋のある老人ホームとは?
老人ホームの一部には、夫婦部屋がある施設があります。
・特別養護老人ホーム
・有料老人ホーム
・グループホーム
・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
・ケアハウス
が、その老人ホームです。
老人ホームは、1人部屋が基本。
ここで上げた老人ホームの中の、さらに一部の施設にだけ夫婦部屋があるのです。
数が少なく、夫婦部屋の人気が高まっており、人気のお部屋になると入居まで1年以上かかるケースも!
気になった施設が見つかったら、早めに資料請求や見学、体験入居をして、候補を絞っていきます。
その中から、予算にあった中で一番理想の生活が送れるところを選ぶのがおすすめです。
しかし、老人ホームには入居の条件が決まっていて、希望すれば入れるというわけではないのです。
そこで、次に夫婦部屋のある老人ホームごとの入居条件や平均費用について紹介します。
特別養護老人ホームとは?
老人ホームと言えば、ほとんどの人がイメージするのが特別養護老人ホームです。
以前は、4人部屋が多かったのですが、近年建てられた施設は、ユニット型と呼ばれる個室です。
特別養護老人ホームは、社会福祉法人や自治体が運営している公的な施設のため、費用が安く済むのが特徴で、
各施設によって料金は違いますが、月にかかる費用は6~15万円ほどだと言われています。
民間の有料老人ホームと比べると、費用が押さえられるので人気が高い施設です。
夫婦で特別養護老人ホームに入れる?
特別養護老人ホームは、老人ホームの中で費用が安く済むということで人気です。
しかし、夫婦で老人ホームに入るのは、かなり難しいでしょう。
理由は2つあります。
そもそも、介護度が重い人しか入れないこと。
もう1つは、夫婦部屋の数が老人ホームの中でも一番少ないこと。
特別養護老人ホームは、以前は介護の重さは関係なく入居することができました。
そのため、入居希望者が殺到し、入居まで1年以上も待たなければならないことが、社会問題にもなったほどです。
今は、入居条件が厳しくなり、以前ほどの待機問題ではなくなりました。
それでも、便利な立地や新しい建物などに応募は偏りがちで、未だに数年待ちの特養もあります。
さらに、部屋の作りは4人部屋と1人部屋がほとんどなので、夫婦部屋の数そのものが少ないのです。
部屋数が圧倒的に少ないこと、その中でも人気が偏り良いところほど待たなければならないことから、
特別養護老人ホームにご夫婦で入ることは、かなり難しいでしょう。
有料老人ホームとは?
有料老人ホームとは、食事や掃除などの生活支援サービスが付いた民間の高齢者施設です。
特別養護老人ホームとの違いは、民間が運営していることと元気なうちから入れることです。
介護付きの有料老人ホームの場合は、介護保険で「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、これに身体介護や機能訓練、レクリエーションなどのサービスが受けられます。
入居の条件としては、年齢は60歳や65歳以上となっているところがほとんどです。
費用については、入居時に支払う入居金と月額利用料があり、月額利用料の平均は約25万円。
と言っても、すべての有料老人ホームが25万円もかかるわけではありません。
月額利用料の平均とは、高級老人ホームと呼ばれるフルサービス付きマンションのような施設から、月に10万円を切るようなリーズナブルな施設まで、すべての平均となっているので、参考程度にとどめておきましょう。
有料老人ホームの月額費用の内訳は、家賃が占める割合が多いので、地方などに目を向けると月に10万円を切るようなところもあるのです。
元気なうちから暮らせて、介護が必要になったときも心配する必要がないので、最後まで自宅として暮らすのに向いています。
有料老人ホームに夫婦で入れる?
有料老人ホームにも、夫婦で入れる2人部屋があります。
入居条件が厳しい特別養護老人ホームに比べて、介護度による制限はほとんどなく入居しやすいのが特徴です。
民間が運営しているため、特別養護老人ホームに比べると費用はかかりますが、余暇の過ごし方などのサービスが充実していて、暮らしを楽しめるような趣向が凝らされたところが多いです。
有料老人ホームの中には、プールや温泉、家庭菜園ができるところもあるなど、趣味の時間を楽しめるという理由で施設を選ぶ方もいます。
老人ホームをまるで自宅のように暮らし、老後の不安をなくしながらも人生を最後まで楽しみたい方におすすめです。
サ高住の夫婦部屋
サービス付き高齢者向け住宅とは、民間が運営するバリアフリー対応の賃貸住宅です。
主に、自立して身の回りのことができる方や、介護度が軽い方が暮らしています。
入居の条件として、60歳以上の高齢者が対象となっていますが、介護認定を受けた場合は60歳未満の人でも入居できます。
賃貸契約となるため、普通の賃貸同様、敷金が必要になります。
敷金の費用は、数十万円~数千万円
月額費用については、8万円~40万円ほど。
介護が必要になった場合は、外部の訪問介護を利用することになるので、別途費用がかかることを想定しておいた方がいいでしょう。
サ高住の中でも、介護型の場合は施設職員からの介護サービスが受けられたり、専門的な支援ができるスタッフが24時間常駐しているなど老人ホームと遜色ない充実したサービスが受けられるところもあります。
グループホームの夫婦部屋とは?
グループホームとは、家庭的な環境の元で暮らせる老人施設の1つです。
入居時に必要な費用が0~80万円ほど、毎月約16万円ほどとなっています。
入居一時金が必要な施設も多く、月々の費用も安いため、費用を抑えたい方にはおすすめです。
しかし、入居には認知機能低下の診断があることが条件になっているので、希望して入れるものではありません。
また、グループホームは認知機能低下の高齢者の支援を目的としているので、身体介護の面では老人ホームに比べると整っていない可能性があります。
必ず、将来介護が必要になっても住み続けられるかを確認しましょう。
他の老人ホームと違って、料理や掃除などを役割ごとに担い、集団生活となるのが特徴です。
ケアハウス
ケアハウスは、一般型と介護型があります。
一般型は、身の回りのことはできるけれど1人での暮らしに不安がある60歳の方が対象となっていて、
介護型は、介護度1以上の高齢者が対象、年齢は65歳以上となっています。
入居時に、保証金が30万円~数百万円必用で、月に12~30万円ほどが平均的な金額です。
ケアハウスの多くは、地方自治体や社会福祉法人が運営しているところなので、費用が安いのが特徴。
料金的に利用しやすいため、入居希望者も多く1年以上待つ方もいらっしゃいます。
介護が必要になった場合は、一般型は外部の介護サービス事業者と契約して利用することになり、介護型は施設スタッフからサービスを受けることになります。
老人ホームと比べると、介護度が重くなったり認知機能低下などへの対応が施設ごとにことなるので、見学の際に確認しておかなければならないところです。
夫婦部屋のある老人ホームの種類と費用の比較
入居一時金 | 月額費用 | |
特別養護老人ホーム | 0 | 10~20万円 |
有料老人ホーム | 平均120万円 | 約40万円~ |
サ高住 | 数十万円~数千万円 | 約8~40万円 |
グループホーム | 0~80万円 | 約15万円 |
ケアハウス | 30~数百万円 | 12~30万円 |
費用だけでみると、特別養護老人ホームが料金が抑えられるのですが、介護度3以上でないと入れないという条件や空き部屋が一番少ない施設なので、ご夫婦で同じ施設に入るのは難しいでしょう。
夫婦部屋に入るのを条件にするなら、それ以外の老人ホームがおすすめです。
有料老人ホームは、介護サービスも受けられるシニア向けのサービス付きマンションのようなもの。
サ高住は、相談相手などが常駐の、シニア向け賃貸住宅。
グループホームは、認知機能が低下した方向けのアットホームな共同生活をする施設。
ケアハウスは、介護型や一部の施設については65歳以上、介護度1~2、所得制限などがあるところもあります。
その場合も、入居条件と介護が必要になったときの受け入れ体制なども確認します。
費用だけで選ぶと、施設での受け入れが難しいほど介護度が重くなった時に、転居しなければならないケースもあります。
入居時の条件だけでなく、介護が必要になったときを想定した老人ホーム選びが大切です。
老人ホーム入居にかかる初期費用、入居一時金って何?
入居一時金とは、その部屋を利用する権利を買うのに必要な料金です。
入居一時金が無料の施設もありますが、一方で数千万単位の高級老人ホームと呼ばれるところもあります。
また、入居一時金が必要な施設でも、初期費用を抑えたプランが用意されており、支払い方法が自由に選べるようになってきました。
しかし、初期費用が抑えられるプランの場合は、月額費用が高くなりがちです。
入所時に一度だけ払えば良い一時金に対して、月額費用は長く住めば済むほど負担になります。
どれだけ長期で利用する可能性があるのか?入居時の年齢に合わせた料金プランも検討してみましょう。
入居一時金の償却と返金について
入居一時金は、支払った費用を月単位で償却していくシステムを取っている形をとっているところが多いです。
入居してからの年月に応じて、金額や%で償却率が決められていて、仮に短期間で退去した場合には、償却費を差し引いた費用が返却されます。
費用の支払い方法プランを、いくつも用意している施設も多く、料金がわかりにくいのが問題です。
・入居時と毎月に必要な費用
・介護が必要になったときの加算費用の可能性
などを、気になった施設ごとに整理するのがおすすめです。
その費用が、将来払って行けるかどうか?年金と預貯金を整理して、資金計画を立てましょう。
高級老人ホームの夫婦部屋ってどんな部屋?
プールにシアタールームに、カラオケ、ビリヤード、茶室に大浴場。
まるで、リゾートホテルのような設備が整った老人ホームもあります。
室内に置かれた家具も、一般の老人ホームでは使われないようなホテルのような家具が使われているなど、もはや老人ホームに見えないのが特徴です。
老人ホームの不満の中で、食事が上がることはよくありますが、ハイクラスの老人ホームでは、専属のシェフが作るなど徹底して食と食べる空間にこだわっているところが多い傾向があります。
夢のような暮らしだけれど、費用はその分かかってしまいます。
住む場所にこだわりがないのであれば、地方のハイクラス老人ホームがお勧めです。
老人ホームの費用には、家賃が大きく関係しているので、地方なら安く抑えられるからです。
地方に目を向けると温泉付きやオーシャンビューの老人ホームでも、手頃な費用で入居できるところもあります。
一番安い老人ホームの夫婦部屋ってどんな部屋?
とにかく老人ホームの費用を抑えたいのであれば、地方の老人ホームで探すのがおすすめです。
たとえば、四国や九州などの安い老人ホームであれば、月額費用が10万円ほどで済むところもあります。
国の基準で老人ホームの部屋については、広さなどの決まりがあるので、安いからと言って、設備が劣っていることもありません。
老人ホームによくあるような、IHキッチン完備など設備も整っていて、なおかつ居室スペースも広い上に、10万円ほどの老人ホームもあるのです。
入居一時金も10万円台~と、地方はとにかく費用が安いところが見つかりやすいので、できるだけ安いところを探している方は、地方の施設から見つけるのがおすすめです。
老人ホームに入る適齢期ってあるの?
65~74歳 | 75歳以上 | ||
要支援 | 要介護 | 要支援 | 要介護 |
1.2% | 3% | 7.5% | 21.9% |
上の表は、厚生労働省のデータを元に要介護認定の状況を表にしたものです。
75歳以上の方の、実に29.4%もの人が何かしらの介護支援を受けながら生活していることになります。
要支援とは、介護度が軽い方のことを指します。
要介護とは、身の回りのことに対する介護だけではなく、自立して立ち座りすることも含めて支援が必要な状態のことを指します。
75歳以上のうち、10人に3人は何かしら介護サービスを利用しているこついことに。
長生きすればするほど、誰が、いつ介護をする側・される側になるか分かりません。
奥さんや夫にだけは、介護で苦労させたくない。
子どもに親のことで負担をかけさせたくない。家族との生活を大事にしてほしい。
そう思っているなら、健康寿命を延ばすことと、介護が必要になったときのことを決めておくことが大切です。
夫婦で良い老後をおくるには?衝撃の未来予想データが物語るボケる確率
老後は夫婦で楽しく、穏やかに過ごしたい。
そう思っていたはずなのに、介護は突然やってきます。
高齢者の介護は認知機能の低下以外にも、転倒や体の問題などによる突然の入院などがきっかけで始まることも多く、予想が付きません。
2025年には、65歳以上の5人に1人が認知機能が低下するというデータもあるのです!
ただ、今の生活を続けて行けば、平均的な人と同じ状況なので、5人に1人の方に近づく可能性は高くなるでしょう。
でも、環境や生活を変えて備えることはできます。
幸せな老後を過ごすには、受け身ではなく、自分で選ぶことが大切です。