住宅型有料老人ホームの問題点とは?

要介護度が上がると見えてくるのが有料老人ホームへの入所です。

老人ホームにもさまざまな形態があり、住宅型有料老人ホームの人気が高まっています。そのいっぽうで住宅型有料老人ホームの問題点も指摘されているのです。

今回はその住宅型有料老人ホームと問題点について書いてみます。

●住宅型有料老人ホームとは?

住宅型有料老人ホーム(以下「住宅型」)は、要介護認定を受けている人や自立できる高齢者が入居できる介護施設です。

食事の提供や掃除、さらには洗濯や買い物の代行など充実した生活援助を受けることができます。

有料老人ホームの形態は主に、「介護付き」「住宅型」「健康型」の3種類に分かれます。

「介護付き」「健康型」が、多くの人が有料老人ホームに抱いているイメージそのものといってよく、いっぽうの「住宅型」は、サービス付き高齢者住宅に近いものと思っている人も少なくありません。

もっとも、両者には大きな違いがあり、サ高住はあくまでも「住宅」であり、「住宅型」は、老人ホームなのです。

※サ高住は国土交通省が助成金を出して建設している、国交省所轄の高齢者向け住宅です。介護福祉法による老人ホームではなく、あくまでも高齢者向けの住宅であり、介護サービスは別途受けることになります。「住宅型」有料老人ホームは文字通り老人ホームですから、厚生労働省所轄であり、介護福祉法に規定されている老人ホームなのです。

・訪問介護による介護サービス

サ高住も住宅型有料老人ホームも年々その数を増やしていて、「住宅型」は有料老人ホームの約3割を占めているということです。

「介護付き」と「住宅型」の大きな違いは、「介護付き」が施設内での介護を受けることができるのに対して、「住宅型」は、訪問介護を利用する点です。

それでは、介護スタッフは常駐しないのか、ということになりますが、原則として、住宅型有料老人ホームの敷地内に介護スタッフの詰め所となる、居宅介護事業所があります。

そこに詰めている介護スタッフが、訪問介護を受け持っているのです。有料老人ホームですから、介護福祉法に則って、24時間介護スタッフが常駐しています。

●住宅型有料老人ホームの入居の条件は?

気になる「住宅型」の入居条件というのはどういったものでしょうか。

・年齢
原則として60歳以上から入居可

・要介護度
自立(要介護度認定なし)から軽度の要介護度(「住宅型」によってまちまちで、終の住み処として対応できるところもあります)

・認知機能低下
施設によって異なりますが、受け入れOKのところが多いようです。

・収入面
将来にわたって、年金受給と手持ち資産で月額費用を問題なく支払いができる人(施設によっては入居費用も必要)

※入居条件は幅広く、夫婦で入居ができます。要介護度認定はされてないけども、一人暮らしは不安…という高齢者向けともいえます。また、元気だけども介護が必要になった場合も安心して暮らしていきたい、という高齢者に向いている有料老人ホームといっていいでしょう。

●住宅型有料老人ホームのサービス内容は?

具体的な「住宅型」のサービス内容を見ていきます。

・基本サービス

基本サービスは上述していますが、食事の提供、掃除・洗濯、買い物代行・見守り、そして生活相談です。

介護サービスは、別途訪問介護サービスの契約が必要となります。

また、外部の介護サービスを受ける場合も同様です。そのため、入浴・食事・排せつの介助については外部の介護サービスを利用することになります。

また、デイサービスなどに通う人も少なくありません。

・介護以外で特別な支援が必要な場合

介護以外で、機能訓練など特別な支援が必要な方の対応については、施設によって異なります。

最近では、専門の有資格者を常駐して、サービスが提供できる施設が増えてきています。

国家資格がないとできないサービスについては、施設ごとに対応の可否が大きく違い、

受けられる支援の種類が、「住宅型」の人気を左右することもあるようです。

・「住宅型」の良いところ

生活の自由度が高く、ある程度自立した生活を送ることができますし、要介護度認定されている高齢者については、施設内になる介護事業者の訪問介護サービスを(契約すると)いつでも利用できます。

希望する介護については、専任のケアマネージャーに相談しながら希望に沿った介護サービスが利用できます。

施設も新しいので、理想的な施設の形としてはこれからの面もありますが、レクリエーションなど、行事を活発化させているところが多くなっているのが昨今の住宅型の特徴といえます。

自由参加型ですが、それを目当てに入所する高齢者も少なくないということですから、ある程度、目的を同じにする人が集まる傾向が強く、施設内も和気藹々と過ごせるようです。

・福祉用具のレンタルについて

介護保険の点数を上手にやりくりすることで、介護福祉用具のレンタルをする人も少なくありません。

買取りが多い介護付き有料老人ホームとは違って、レンタルが可能なのも住宅型ならではといっていいでしょう。

住宅内もバリアフリーになっていますし、手すりなども至るところに設置されている、高齢者向け住宅なので福祉用具のレンタルも車いすや介護ベッドなどの大がかりなものも簡単に利用できます。

※介護型有料老人ホームは、介護保険の利用限度額を全て使い切ることになるので、福祉用具のレンタルはできずに買取りとなります。いっぽうで、住宅型については、自由に介護サービスを選ぶことができるので、介護保険の限度額に余裕のある範囲で福祉用具のレンタルが可能です。

・有資格者が常駐する施設も

施設によっては国家資格の有資格者が常駐するところもあるようです。そうなると、資格がなければできない支援についてもできるので、人気が高まっています。

・理美容について

施設内に理美容室が設置されていて、理容師・美容師が出張でヘアカットや白髪染め・パーマなどを行ってくれます。

●住宅型有料老人ホームの費用は?

施設の設備などで大きく変わってくるのが費用です。

月額費用は15万円から60万円とかなり幅がありますし、入居費用にいたっては、無料のところから数千万円になるところもあるようです。

これについては入所の手引きなどを取り寄せ、実際に見学して判断しなくてはいけません。

・費用の内訳

住居費(光熱費含む):8万円から50万円
介護サービス費:1万円から7万6千円(1割あるいは2割負担で幅が出ます)
食費:3万円から6万円
その他:1万円から12万円
※内訳は以上となり、住居費が施設によってかなり違ってきます。遊行費などの費用は別途かかりますし、夫婦の年金受給額の平均である、25万円から30万円程度の月額費用を一つの目処としたほうがいいでしょう。条件にもあったように、入所条件は厳しいものではありません。自由度が高いだけに、介護サービスを利用しない、自立できる高齢者にとっては安価で入所できる有料老人ホームといってもいいかもしれません。

●住宅型有料老人ホームの問題点とは?

一般的な例として以下の問題点があります。

・要介護度が上がった場合

認知機能の低下などが進み要介護度が上がるということは、それだけ介護サービスを受けることも多くなります。

「住宅型」は訪問介護サービスとなるので、頻繁に訪問介護を受けることになります。

何かあれば、介護スタッフを呼ばなくてはいけないこともありますが、すぐに駆けつけてくれるとも限らないため、もしものときの対応が不便となる場合も少なくないのです。

そのため、要介護度が上がると、施設を変わるという選択肢が出てきます。

・終の住み処

上述したことでもわかるように、終の住み処としては難しい面があるでしょう。

そのため、「終身介護」を考える際には、この場合においても施設を変わることを考えたほうがいいでしょう。

※将来的に特養や介護付き有料老人ホームへの入所を念頭に入れて、住宅型有料老人ホームに入所している高齢者にとっては、さまざまなライフスタイルを謳歌することができる点でも、「住宅型」は大いに活用できる老人ホームといえます。

●まとめ

難しいのは将来を見据えたライフスタイルの考え方です。

終の住み処と考えているのでしたら、最初からそういった対応のできる、介護付き有料老人ホームや特養(要介護度認定が3以上)に入所したらいいのですが、自立できるので最初から窮屈な生活はしたくないという高齢者もいることでしょう。

それでも、自立はできるが日々の生活に不安があり、食事の心配もしなくてもいいという人にとっては、住宅型有料老人ホームは大きな選択肢となります。

要介護度が上がれば特養に入所すればいいといった柔軟な思考のできる人に向いている老人ホームと言えるでしょう。

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