訪問介護ってどんなサービス?内容と料金について

自宅で暮らしながら受けられる介護サービスには、自宅に訪問してもらい身の回りの援助をしてもうら訪問介護(ヘルパー)と、

自宅から特定の施設に通い、そこで食事やレクリエーション、入浴などの介護サービスを利用する通所介護(デイサービス)の2つがあります。

介護認定を受けて、サービスが提供されたら在宅介護の問題は解決した!

と思う方が多いのですが、実は訪問介護には細かなルールがあり、やって欲しかったサービスが受けられないこともあります。

そこで、訪問介護のサービス内容や、どうして「利用したくても利用できないことが起こるのか?」について紹介します。

必用な介護サービスを十分に利用するためにも、料金やサービスを受けるためのルールを知っておきましょう。

訪問介護って何をしてもらえるの?料金は?

介護保険で提供される訪問介護サービスは、都道府県や市町村などの行政から指定を受けた法人が提供者となります。

介護認定を受けて、どの曜日にどんなサービスを利用できるかプランを立てたら、この介護保険サービス事業者と契約し、訪問介護が始まります。

このプランをケアプランと言います。

サービスが始まると、事業所に登録しているヘルパーや介護福祉士が、ケアプランに基づいてサービスを提供します。

基本的に、訪問してくるスタッフは1人なので、1対1のマンツーマンでサービスを受けるのが特徴でしょう。

訪問介護のサービス内容は、直接体に触れる「身体介護」と、身の回りの世話などの「生活援助」に分けられます。

両方のサービスを組み合わせて受ける事も可能です。

また、通院などの際に車で送迎するサービス(通院等乗降介助)も訪問介護になります。

ここでは身体介護と一括りにしましたが、実際にサービスを利用するケアプランには、事細かにどんなサービスをするかが事前に決まっていて、それに沿ったサービス利用となります。

では一体、訪問介護で具体的にどんなことをしてもらえるのでしょうか?

身体介護ではどんなことをしてもらえる?いくらかかる?

介護保険では、介護の単価はある程度の目安があります。

【身体介護(20分〜/245円〜)】時間単位で料金が決まっていて、始めに立てたケアプランの時間内で、どんなサービスを利用するかを決めるのです。

せっかく介護保険が使えるのだから、できるだけたくさん介護を受けたいところですが、介護の程度によって使える介護サービスの時間は限られています。

保険が効く範囲内で納めながら、最大限の支援を利用するには、優先順位をはっきりとさせることです。

1人ではどうしてもできないことや、家族ではできないこと、生活をしていく上で欠かせないことから利用していくと、必要なサービスを受けられるでしょう。

訪問介護の細かいサービス内容について知りたい方のために、下に詳細をまとめました。

どんなことをしてもらえるのか知りたい方は、ご覧になると、サービスのイメージがつきやすいでしょう。

【身体介護のサービス】

排泄介助/トイレでの排泄介助やおむつ交換など。
入浴介助/入浴の際の洗身・洗髪や浴槽を跨ぐ介助。バケツにお湯をはり、足浴なども含まれます。
清拭/入浴ができない状態であれば、ベッド上などで体を拭くケアになります。
整容・口腔ケア/髪を梳かしたり、口の中を清潔にする介助。
爪きり/手・足の爪を切る介助。
食事介助/食事の際の介助。
更衣介助/衣服の着脱の介助。
歩行・移動介助/歩行の際や車いす移動での介助。
移乗介助/ベッドなどから車いすに移乗する介助。
体位変換/自力で寝返りが打てない方の体位を変換する介助。
声かけ・見守り/入浴・更衣・移動などの際、声かけと安全のための見守り。
共に行う家事/掃除・調理・洗濯などの際、ヘルパーが一緒に行う支援。
たんを吸い取る/研修課程を修了したヘルパーに限り、たんの吸引を行えます。

【生活援助(20分〜/183円〜)】

掃除/居室・寝室・台所・浴室・トイレなど、要介護者が利用している箇所の掃除。ポータブルトイレの掃除やゴミ出しも含まれます。
洗濯/衣服やシーツの洗濯、乾燥(物干し)、取り込み収納など。
寝具/シーツ交換、ベッドメイク、布団干しなど。
衣類/衣類の整理、衣服の補修など。
調理/一般的な調理、配下膳、後片付けなど。
買物/日用品の買物など

【通院等乗降介助(片道97円〜+タクシー代)】

自力で電車やバスなどの公共交通機関を利用できない方は、通院や選挙投票などの際に通院等乗降介助を利用できます。

一般的なタクシーとの大きな違いは、介護スキルのあるヘルパーが運転手であること。

車の乗り降りの介助は介護保険の対象で、タクシー代は実費となります。

※市町村によって料金が異なります。
※身体介護は20分未満でも認められる場合があります。
※上記は要介護1〜5(同一料金)までの料金(1割負担の場合)です。
※要支援は、サービス内容と時間(一般的には30〜60分)に関わらず、週1回/1,168円〜、週2回/2,235円〜、となっています。
※通院等乗降介助は、要介護1〜5までの方が対象です。

訪問介護は誰にお願いすれば良いのか?

介護保険では、提供されるサービス内容について決まっていて、どの事業者も同じ内容のサービスを提供しています。

同じような事業者がいくつもある中から、利用者が選んで契約し、晴れて訪問介護が受けられるというのが一連の流れです。

街で、なんとなく訪問介護やヘルパーを派遣していそうな事業所を見かけたことがあるでしょう。

しかし、契約までの流れや、どうやって事業所を決めればいいかはあまり知られていません。

そこで、次に、実際に訪問介護を受けるまでの流れを紹介します。

訪問介護を利用するための手順

訪問介護を利用するには、ケアマネジャーにケアプランを立ててもらい、どんな介護サービスを利用するのかを細かく決める必要があります。

ケアマネージャーは、高齢者の生活を総合的に支える「地域包括支援センター」や、介護サービスを提供している事業所などにいます。

介護認定を受けたら、自立・要支援1~2の人は、「地域包括支援センター」に連絡し、そこにいるケアマネージャーにケアプランを作ってもらいます。

要介護1~5と認定された場合は、市町村がケアマネージャーがいる事業所を紹介してくれ、ケアプランの作成をします。

ケアプランができたら、どのよう日のどの時間は、どの介護事業者からヘルパーを派遣するかを決めて、契約し、サービスが始まります。

高齢者が、自宅で自立しながら生活するためには、必要な支援を受けることは不可欠!

そのためには、ケアマネージャーに「いま困っていること」や「どんなことをして欲しいか?」意向を伝えることが大切です。

個人で事業所に直接連絡を取っても良いのですが、ケアマネージャーは1人で何十件の案件を抱えていることもあり、受けられるかどうかは別だったり、

事業所の人員の関係で、ケアプラン通りの曜日や時間に、ヘルパーを派遣して訪問介護できるかどうかも確認しなければなりません。

1つ1つの介護事業所に問い合わせながら確認するのは、骨の折れる作業なので、ケアマネジャーと相談しながら利用できる枠があるところを選ぶのが一般的です。

特に気を付けたいのが、同居している家族が居るケース。

本来なら、利用できたはずの訪問介護が、利用できないということもあるのです。

訪問介護が利用できない、使えない

訪問介護は、介護保険に基づいて提供されるサービスです。

介護を必要としている人に対しての支援なので、「家族が同居していると利用できない介護サービスもある」など、制限が付けられている部分もあるのです。

例えば、生活援助(掃除や洗濯、調理、買い物など)は、原則としては同居家族がいる場合は認められません。

介護保険では、「家族がいたら家事の延長で要介護者の分もできるから。」とみなされているからとも言えます。

でも、家族が同居していても、日中には働きに言っていて高齢者が1人の家庭もあります。

さらに、同居家族が元気でなければ、介護することができません。

こういった、特別な理由があれば同居する家族が居たとしても、訪問介護として生活援助を利用することもできます。

家族構成や、個別の事情で利用できる内容や時間も変わるので、担当ケアマネジャーに相談してみましょう。

以下に、訪問介護でできないサービス代表例を挙げてみました。

ケアマネージャーと相談する前に、一読しておくと話しがスムーズでしょう。

【本人以外に対するサービス】

本人以外の調理・洗濯・買物
本人以外が利用する部屋の掃除
ペットの餌やりや散歩

【日常的な家事を超えるサービス】

家具の移動や大掃除
床のワックスがけや窓拭き
庭の草むしり

【日常生活を営むのに支障のないサービス】

嗜好品(酒やタバコなど)の買物
仏壇に飾る花の買物
年賀状の作成

【資格がないとできない行為】

国家資格がないとできない行為(巻き爪の爪切りなど)
マッサージやリハビリ

【その他】

ヘルパーの指定
来客の応接や留守番
救急車の同乗

緊急時にも訪問介護をしてもらいたい!ヘルパーは緊急で呼べる?

介護保険で提供される訪問介護サービスは、事前に作られたケアプランに沿って、

1か月や1週間ごとに、決められた曜日、時間に、どんな介護を受けるか決められています。

例えば、プラン内容が「掃除」となっているのに、「今日は掃除はしなくていいので、買物をしてきて」と頼む事はできません。

これは、サービス内容は「介護保険で必要だと認められたから介護としてプランに入れている」という大原則があります。

その根拠があるから、介護保険内で、一部の料金負担で訪問介護を利用しているのです。

利用する時間は同じだからと、違う内容に差し替えることはできないのです。

しかし、緊急時はこの限りではありません。

例えば、自力で寝起きできない人が、ベッドから落ちてしまった場合、ずっと床に転がったまま次のヘルパーさんが来るまで我慢する。なんてことはあり得ないですよね。

こういった、今すぐに手をかして欲しい!

という場合も、ケアマネや事業所などに連絡すれば、緊急時の訪問介護として利用することができるのです。

ただし、ヘルパーが訪問している時間以外の緊急時に対応できるところばかりではありません。

持病を持っている方などは、特に、緊急時の訪問介護の利用ができるかも、確認しておいた方がいいでしょう。

介護保険外でもサービスを提供しているところや、ヘルパーを多く抱えている事業所、夜間も対応できる事業所など、ケアマネジャーに調べてもらうこともできます。

まとめ

訪問介護がなければ、生活が成り立たない高齢者がたくさんいます。

でも、訪問介護の料金やどんなサービスが利用できるのか?

介護が必要になったら、どんな流れでどこに相談すればいいかも教えてもらっていません。

何も知らないままサービスを利用すると、訪問介護を利用しているので、おかしいなと感じたり、もっと違うサービスを利用したいと違和感を感じても、そんなものなのかと見過ごしてしまうこともあります。

しかし、知識として知っていれば、ケアプランが途中で作成しなおせることも、必要なサービスをしっかりとプランに入れてもらうことができるのです。

高齢者が、自宅で自立した生活を送るためにも、介護保険について、介護について、知っておいた方がいいことをたくさん紹介していきますので、一緒に学んでいければと思います。

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