老人ホームに入りたいけど保証人がいない人はどうすればいい?

近年では身寄りがない高齢者が増えており、老人ホームに入居する際に保証人が立てられないという方が増えてきています。多くの老人ホームでは保証人を立てれることが入居の条件となっており、保証人がいない方は入居できないという問題が出てきています。

保証人がいない方はどのようにして老人ホームに入居していけば良いのでしょうか。

保証人がいない場合の対処法についてもまとめました。

なぜ老人ホームに保証人が必要なのか

そもそも老人ホームにはなぜ保証人が必要なのでしょうか。ここでは保証人の役割を見ながら、その必要性についてご紹介していきます。

・債務の保証が必要

老人ホームに入居して生活をするためには、利用料を支払っていく必要があります。利用料の支払いが無いと生活を続けていくことが出来ません。もし本人に支払い能力が無くなった場合、老人ホーム側は支払いを保証人に求めます。

一般的に保証人は債務の連帯を担っているのです。特に高額な月額利用料を支払う有料老人ホームなどの場合は、月額費用が高額になりやすく支払いが滞ると運営に支障が出てしまい、老人ホーム側のリスク回避の為に必ず保証人を立ててもらいます。

・入院時の手続き

老人ホームに入居していても、何かしらの理由で入院をするケースがあります。基本的に老人ホーム内での手続きは老人ホームの職員が行いますが、老人ホーム外のことになりますと保証人が行うのが基本です。

例えば、入院時の手続きなどは保証人が行い、老人ホーム側は行うことが出来ません。

入院時の衣類等、必要物品の持ち込みも基本は保証人が行う役割となります。

・手術の同意

本人がまだ判断能力がはっきりとしている場合は、手術の同意は自分で行います。しかし、判断能力がはっきりとしていない場合は、手術の同意は保証人が行うことになります。

もし保証人がいない場合は、手術を行うことが出来ませんので老人ホーム側としては手術の同意に関しても保証人の役割として定めています。時々老人ホーム側で手術の同意を行っているケースもありますが、これは手術時に死亡をしたり障害が残った際に賠償責任を負う可能性がありますので、手術の同意を行う老人ホームは非常にリスクを高いことをしているといえます。

・退去時の手続き

死亡などによって退居をする場合、様々な手続きは老人ホーム側では行いません。退去時の手続きとしては

居室の明け渡し(荷物の引き上げ)…使用していた部屋には衣類やタンスなど様々な物品があります。この処分については本人の所有物ですので老人ホーム側が勝手に処分することが出来ません。特に相続に関わる物の場合は遺留品となりますので、勝手に処分をしてしまいますと相続問題に巻き込まれてしまいます。

葬儀関連の手続き…葬儀についても通常は親族などが行いますので、老人ホームは行いません。勝手に行った老人ホームが遺族から訴えられたケースもあるからです。

役所等の手続き…死亡すると年金事務所や保険証の返却などがありますが、役所への手続きに関しても行うことが出来ません。基本的には親族が行うのです。

利用料の清算…こちらは債務の連帯にも繋がる話ですが、本人が死亡をすると基本的には口座が凍結されて利用料の引き落としが出来なくなります。その為、死亡後の清算に関しては保証人の役割となるのです。

・本人の代わりに意思決定をする役割

例えば、本人の衣類が汚れたとします。新しい物に買い替えるのか、クリーニング等に出して綺麗な状態にするのかは誰が判断するのでしょうか。通常であれば本人が判断をしますが、判断能力がない場合老人ホーム側としては保証人に判断を仰ぎます。

これは一例ですが、老人ホーム側が勝手に判断できない部分は多々あります。その都度保証人に判断を仰ぎながら、本人の有益になるようにしていくのです。

老人ホームに入居する際保証人がいない場合の対策

保証人がいない方は必ず老人ホームに入居することが出来ないのでしょうか。答えは入居することが出来ます。しかし、それには様々な条件があるのです。一体どのような条件があるのでしょうか。

・保証人代行サービスを利用する

保証人は親族がなることがほとんどですが親族がいない場合は、親族の代わりに保証人になる保証人代行サービスがあります。料金を支払うことによって保証人の代行をしてくれるのです。

保証人代行サービスは老人ホーム側から紹介してくれるケースもありますが注意したいこととしては保証人代行の料金についてです。

通常であれば契約時には数十万円~数百万円、預託金が数百万円かかる場合があり、合計で300万円近くかかるケースがあります。預託金は利用料の支払いが滞ったり、葬儀費用等、本人の支払いが難しくなった場合代わりに代行サービスが支払う必要があるため、あらかじめある程度のお金を預かっておく制度です。

中には数十万円で代行サービスを引き受ける、月々数万円で引き受けるところもありますが、サービス内容に注意しなければいけません。

保証人の役割である①債務の保証②入院時の手続き代行③必要な支援の同意④退去時の手続き。これら4つのことをしっかりと行ってくれるのか確認をしておきましょう。料金が安い代わりに債務の保証が出来ない、退去時の手続きが曖昧というところもあります。

・保証人代行サービスを利用するなら専門家がおすすめ

保証人代行サービスを考えているのであれば、専門家に依頼をすることをお勧めします。保証人の専門家というのは、司法書士、弁護士などです。司法書士事務所や弁護士事務所でで保証人代行サービスを行っているのであれば利用をお勧めします。司法書士や弁護士は法律の専門家です。

法律を犯すことは限りなく少なく、相続などについても配慮してくれます。また、権利擁護についても知見がありますので、不利益を被らないように配慮してくれるでしょう。

現に有料老人ホームなどでは、入居時に保証人がいない方に対しては司法書士や弁護士を紹介するケースが多く、老人ホーム側からも信頼されているといえます。

・老人ホームの費用が工面できない方

司法書士や弁護士などに依頼をする場合は、ある程度まとまったお金が必要になります。そういったお金を工面できない場合は、NPO法人などが行っている保証人代行サービスであれば低額で利用することが出来ます。

また、自治体によっては社会福祉協議会などが保証人代行サービスに似たサービスを提供しているところもありますので、一度問い合わせをすることをお勧めします。

後見人と保証人の違い

後見人がいれば保証人は依頼ないと考える方もいますが、後見人と保証人は別ものです。後見人はあくまでも本人の代わりとなって、本人の支援を行う役割ですので、本人が亡くなればその役目は終わります。つまり、葬儀の手続きや、居室の明け渡しなどはできません。

また、手術の同意も基本的には出来ませんので注意しましょう。もちろん債務の保証なども出来ません。老人ホームに入居する為に後見人を立てて、準備万端で入居を申し込むも保証人を立てられないから入居できなかったケースもあります。

保証人がいない場合まとめ

保証人の役割を知ることによって、なぜ老人ホームの入居には保証人が必要なのか理解が出来るかと思います。また、保証人を立てられない時の対処方法を知っておくことによって、今後入居する際の心構えも出来ます。

近年は身内がいない高齢者が増加してきていますので、今後ますます保証人代行サービスなどのニーズも出てきて、それによって老人ホーム側の入居基準も変わるかもしれません。

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