ケアプランとは?専門家が答えるケアプランのすべて

ケアプランは居宅(施設)サービス計画書といい、介護保険のサービスを使うためには必要なものです。

介護を受けている方であれば馴染みはあるかと思いますが、介護を受けていない方にとってはケアプランにはどのようなことが書かれているのか分からないという方も多いでしょう。

ここでは、ケアプランとは?ケアプランの作成についてや、作成のコツなどについてご紹介していきます。

ケアプランの作成目的とは?

ケアプランは介護を受けるために必要なものですが、実際ケアプランを作る目的とはどのようなものがあるのでしょうか?目的を知ることによって、ケアプランの重要性が理解できます。

・自立を目指してもらうために

介護保険法では介護サービスを受ける目的として、自立を獲得するという目的があります。

ケアプランにも同様の目的があり、ケアプランにはどうしたら自立を目指せるようになるのかが記載されています。
それが短期目標と長期目標です。目標を定めることによって、サービスを受ける効果を図ることが出来ます。

・何に困っているのか分かるように

ケアプランにはニーズを書くところがあります。

ニーズとは要望・需要という意味であり、ケアプラン上では困っていることなどを記載することとなっています。これを記載することによって、生活の課題が見えてきます。

この課題を知ることによって、どのような介護サービスが必要なのかケアプランを見るだけで理解をすることが出来ます。

・どんなサービスを受けるのか分かるように

ケアプランを見るだけで、どこの事業所がどんなサービスをして、どのような頻度でサービスをするのか知ることが出来ます。

これは、高齢者本人の為でもありますし、家族や事業所の方も一目見るだけでサービス内容が分かりますので、非常に便利であるといえます。

★ポイント
ケアプランは誰が見ても、どんな目的を持って介護サービスを受けるのかが分かりやすく記載されています。
また、介護保険は税金が使われていますので、必要以上のサービスが使われないようにケアプランが作成されているという目的もあります。

ケアプランとは何なのか?

ケアプランの作成目的が分かったところで、ケアプランとはいったいどのようなものなのか理解をしておきましょう。
ケアプランの様式は全国共通です。それぞれの項目を見ていきましょう
第1表…第1表~7票までありますが、高齢者の手元に渡るのは1~3票です。まず第1表には利用者の住所や生年月日、介護度などが書かれており、ケアマネの氏名や事業所名なども記載されています。利用者と家族の意向を書く部分があり、それぞれの生活に対する意向を記載します。
総合的な援助の方針を書く部分には、ニーズや意向などを踏まえて、介護サービスを使いどんな生活を目指すのかが書かれます。

第2表…第2表には、①ニーズ②短期目標③長期目標④サービス内容⑤頻度⑥期間が記載されています。期間が終えればモニタリングをしてどの程度目標に近づいているのか確認をしていきます。

第3表…第3表は週間サービス計画表と呼ばれます。月曜日~日曜日の横軸、24時間の縦軸があり、それぞれどの曜日に、どの時間にどんなサービスを受けるのかが記載されています。

・モニタリングについて

ケアプランは随時見直しをしていくことが求められています。この見直しはモニタリングと呼ばれており非常に重要なこととなります。

例えば、ニーズで「足が弱っているのでリハビリをしたい」があり、目標は「リハビリをして外を安全に歩ける」というものがあります。サービス内容としては訪問リハビリのリハビリです。

まず最初に期間を決めておきます。

おおよそ半年に1回は見直す必要がありますので、期間としては半年です。サービス開始後から半年後にモニタリングを行いサービス内容が目標に近づいているのか評価をしていきます。

目標である「リハビリをして外を安全に歩ける」ということを評価するのです。外を転倒せずに歩けているのであれば目標達成です、新たに目標を指定して、訪問リハビリ以外のサービスを使っても良いです。

達成していなければサービス内容を再検討してデイサービスなどの他のサービスの必要性を確認します。

このようにモニタリングはケアプランの妥当性、サービスの必要性を図るためには非常に大切なことであるといえます。

★ポイント
ケアプランは介護サービスが効果的に行われているのか確認する為に、必要な書式であるといえます。
第1表~第3票まできちんと整合性が取れているのかも随時確認をしておく必要があります。

家族が作成するケアプランとは?

ケアプランを作成するのはケアマネが多いといえますが、ケアマネ以外にもケアプランを作れる方もいます。

それは家族です。

家族でもケアプランを作成することが出来ます。

実際に家族がケアプランを作成している方は、どのようなケアプランを作成しているのでしょうか。また、家族として良いケアプランを作成するコツについてもご紹介していきます。

・家族が作成するケアプランについて

家族が作成するプランは、本人の事はもちろん家族自身のことについても配慮されたケアプランであり、ケアマネが作成するプランとは少し違った傾向になることが多いです。ケアマネが作成するプランは本人にサービスが上手く提供されるように、事業所側にも配慮されたケアプランが多いです。
そういった意味では家族が作るケアプランは、サービス内容としては手厚く、本人や家族の要望を最大限叶えるケアプランになっていることが多いといえます。

・家族として良いケアプランを作成するコツ

家族として良いケアプランを作成するためには、介護の知識がある程度必要になります。ケアマネのように専門的な知識は必要ありませんが、最低でもどのような介護サービスがあるのかは把握しておいた方が良いでしょう。

どんな介護サービスがあるのかを知っておくと、してもらいたいことが介護保険のサービスでカバーできるのかを検討出来ますので、在宅サービスの種類などを知っておくと良いです。

また、介護保険で出来ることについても知っておいた方が良いでしょう。特に訪問介護などの訪問系では出来ることが限られています。基本的には本人のことしかできませんし、出来る介護も最低限生活に必要なものと法律で決められています。

せっかくケアプランを作成しても、介護保険外のことばかりではケアプランを作る意味がなくなってしまいますので注意しておきましょう。

★ポイント
ケアプランの作成はして欲しいこと、困っていることを書くことから始まります。その点では本人のことを誰よりも知っている家族が作成するのが望ましいといえます。もしケアプランの作成をチェックしてもらいたいのであれば、地域包括支援センターに相談に行くと良いでしょう。

良いケアプランを作成する為のポイント

ケアプランは誰が作っても同じではなく、やはり良いケアプラン、悪いケアプランがあります。良いケアプランを作成するためにはどのようなポイントがあるのでしょうか?

・誰が見ても分かりやすい言葉を使う

ケアプランは本人の為にあるものです。決して事業所の為にあるものではありません。その為、介護知識が少ない高齢者でも理解できる分かりやすい言葉を使ったケアプランの作成を行いましょう。

例えば、ADLやQOL、PTやSTなどといった専門用語、特に英語の文字を使うと分かりにくくなります。ADLは日常生活動作、QOLは生活の質、PTは理学療法士、STは言語聴覚士と日本語で書くようにしましょう。

特に専門用語などには英語が使われがちですので注意しておきましょう。

・何を目標としているのかハッキリとしている

ケアプランを作成する際には短期目標、長期目標がありますが、ケアプランによっては何を目標としているのかはっきりとしていない場合もあります。

「元気にいつまでも生活が出来る」「楽しみを見つけることが出来る」といった内容の目標では具体的に書かれていませんので、一目で何を目指しているケアプランなのか理解が出来ません。

具体的な目標を作るためには、アセスメントが非常に重要となるのです。

・良いアセスメントが良いケアプランを生む

アセスメントとは情報収集です。高齢者の情報を知ることによって、何に困っているのか、何を目標としているのか考えることが出来ます。

アセスメントをしっかりとしていないと、ケアマネジャーの一人よがりのケアプランになりやすく、高齢者のニーズは満たされません。

情報収集するためには、会話をすることが大切となりますが、高齢者の住環境や家族環境、近隣住民との環境など、高齢者の周りの環境も観察するポイントとなります。

・ケアプランは繰り返される

ケアプランは一度作成をすればその後ずっと続くわけではありません。

モニタリングを行って定期的に見直す必要があるのです。ケアプランは常に変化をして繰り返されます。

それは高齢者のニーズや身体状態、環境は変化していくからです。しっかりとニーズにあったケアプランを作成する為には、ケアプランも共に変化していく必要があるからです。

★ポイント
良いケアプランを作成する為の最大のコツは、高齢者と一緒に作成をするということです。家族が作るケアプランはその傾向がみられますので、本人の思いが反映されたケアプランになります。
ケアマネジャーが作成する場合でも、本人と一緒に作成することを意識している場合は、良いケアプランができやすいといえます。

まとめ

ケアプランは誰でも作成が可能ですが、やはり作成のポイントを抑えておきませんと良いケアプランは作成することはできません。

家族が作成する場合でも、しっかりと本人の思いを確認しながら作成をすることが良いケアプラン作成のポイントであるといえます。

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